15 「はじまりの足踏み」
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らしなる尻尾が叩きつけられる、とそれを上に跳んで回避。リオレイアの足に太刀を振るう。驚くべき速さで4撃見舞うと5撃目で斬り下がり、サマーソルトを避ける。
空へ飛び立てないレイアが地に足付けるとまたそこに連撃。先ほど斬ったところと寸分違わぬ場所を再度攻撃されたレイアはたまらず悲鳴を上げた。ナギを蹴り飛ばしそのまま踏みつけようとする。
「にゃふー!」
そうは彼の愛猫が許さなかった。全身を使って渾身の力で手裏剣を投げる。デュラクの刃翼を研いで作られた鋭刃は下位の雌火竜の鱗を容易く砕き、その眉間に突き刺さった。その間にナギは足元から脱出。ルイーズに意識が向いているリオレイアの傷ついた翼の下から太刀を振るう。ガチン、と何か堅いものに当たる感覚がしたと同時に、リオレイアが今日何度目かの苦痛の悲鳴を上げる。
何度も攻撃され、上から下から炎を伴う斬撃を受けた翼が、あと一歩で焼き切れそうだ。ナギの腕に直に伝わった感覚は、太刀の刃が骨に当たった音だった。
ギャアアアアア!!!!!!
「ぐっ…」
「にゃふッ」
順調に狩りを進める2人に不意に襲った咆哮。先ほどのよりもずっと大きい音のそれは、塞がなければ耳がイカレるであろう破壊力を持つ。俗にバインドボイスと呼ばれるもの。
「うるさいうるさい、ああうるさい」
顔をしかめたナギが不機嫌げに言うと太刀を鞘に戻し、さらに鞘も背から外し左手に持った。リオレイアはナギに向き直るやいなや突進。寸前で避けられ、急停止し方向転換、再び突進するがこれも避けられる。3度目の正直とばかりに再び突進。
ズシュッ
腰を低く落としたナギは横に飛び退くと同時に頭上を通り過ぎる翼めがけて太刀を振り抜いた。女王は直後悲鳴と共に大地に倒れる。
重い音と共に、切断された翼が地に落ちた。
「なっ……」
カエンヌは目を見張る。飛竜種の切断可能部位は尻尾ではなかったか。今までカエンヌが与えていたダメージは主に胴から足に掛けてだ。翼には、それもあれほど狙いにくい付け根にはおそらく一太刀も入れていない。
それをナギは、戦闘開始から僅か5分で切り落とすに至ったというのだ。
(翼って…切り落とすって…なんだよ…ッ!)
あんな抜刀術、見たこともない。踏み込み斬りとも少し違う、明らかに一般的に太刀使いが使う技とは異なるモーションだった。しかもその剣速は明らかに異常だ。思い返せば先ほど足に攻撃していた時の一撃も、深く、振り抜きが速かった。女かと思うほど細いあの腕のどこにそんな筋力があるというのか。
飽くまで自然体で立つナギが痛みに暴れるリオレイアに口角を釣り上げた。
「空の王の番が飛べないだなんて、形無しだな」
金の眼に怒りの炎を湛えたリオレイアがひゅ
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