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Monster Hunter ―残影の竜騎士―
15 「はじまりの足踏み」
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「どうも。頭上から失礼します、っと」

 完全にKO(ノックアウト)しているリオレイアの頭上から現れたのは、あのナギとかいう男だった。
 音もなく地に降りたナギはこちらを一瞥すると、ゆらりと銀の太刀を引き抜いてフラフラしている雌火竜に向き直った。その肩から飛び降りたメラルーはこちらに駆け寄ると、怪我の具合を確認して笛を取り出す。回復笛だ。
 なぜ、とか、なに、とか。
 考えている暇もなく身体の疲労を回復させる安らかな笛の音を聴き、やや体力の戻ったカエンヌはやっとこさ立ち上がった。後ろからメラルーがさっさとしろと急かす。助けが来たと分かり緊張が無意識に緩んだのだろう、回復笛を浴びたとはいえ、カエンヌの体はもう一歩を踏み出すのも億劫なほど疲労困憊していた。

「仕方ニャいニャ。精々旦那の邪魔にニャらニャいよう隅っこで丸まってることニャ」
「おい、待て。1人でリオレイアをどうにかできるつもりなのか!?」
「そもそもあんたが最初から無理しニャかったらニャんの問題もニャかったのニャ」
「う…」
「それに、あんたを叩きのめしたニャアの旦那の力、見くびって貰ったら困るニャ!」

 それだけ言い捨てると、ルイーズは背中から武器を取った。ナルガSネコ手裏剣。デュラクの成長の過程で生え代わった際貰っておいた、抜け落ちた鱗や刃翼の端材から作ったものだ。勇ましく声を上げてリオレイアに向かっていく。雌火竜は既に気絶から立ち直り、ナギと戦闘を繰り広げていた。
 まともな防具もつけていないナギはカエンヌがひやっとするほどギリギリの回避を繰り返していた。だがその表情は余裕、というか、まるで今日の夕飯を考えながら愛犬と戯れているような、そんな顔だ。つまり、“余裕”を通り越していると。
 そんなナギが不意にこちらを振り向いた。顔に浮かぶのは焦り。ナギが避けた火球の延長線上にカエンヌとルイーズがいたのだ。

「しまった、ルイーズ!!」
「にゃふー!」

 自身より大きい火球を、ルイーズは手裏剣を盾にして弾いた。熱を持った身体と武器を川に飛び込んで即座に冷やす。
 その間愛猫に攻撃が向かないようナギは大きく立ち回る。戦いに“本気”になった気がした。
 目の前に立つナギを喰い千切ろうと顎を開いたその一瞬に火を噴く太刀で無防備な口内を容赦なく焼き斬られ、思わず怯むリオレイア。その隙にまた女王の背に飛び乗ったナギは振り落とさんと躍起になるレイアの翼の付け根を斬りつけた。懐からナイフを取り出すと傷を負ったそこに深く突き刺す。

ガアアアア!!!

 咆哮した女王は我こそヒトの上にあるべしと翼を羽ばたかせ空へ浮かんとするが、片翼を動かした途端地に落ちた。
 刺しっぱなしのナイフが、翼を動かすたび食い込むのだ。

「ッ」

 飛び降りたナギに横か
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