第5章:導かれし者達…トラブルを抱える
第4話:現実は変わらず
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(森の木こりの家)
シンSIDE
(コンコン)
「すみません……一晩で良いので、雨宿りをさせてもらえませんか?」
俺とリューノちゃんは、泥だらけの恰好で森の中に建っている家をノックする。
シンシアが飲ませたシビレ薬の効果が切れ、目を覚まして村を見回すと、そこは誰も住んでいない廃墟になっていた。
家々は燃やされ、畑には毒を撒かれ……至る所に人々の死体が横たわっている。
毎日を楽しく過ごしていた村が……何時も厳しくも優しく話しかけてくれてた人々が……そして大好きなシンシアが……
もう何もない。俺の帰るべき場所も、愛する人々も何も……
泣き崩れる俺を抱き締めてくれたのはリューノちゃんだった……
彼女も泣いているのだが、俺は何も言えずに泣くだけ。
お互い泣き声以外発せられない。
暫く泣きはらし、どちらからともなくお墓を掘り始める。
大切なみんなを野晒しには出来ないので、壊れた家の壁板を使い穴を掘ってみんなを埋葬する。
シンシアだけは何時も花を摘んでいた丘の上に埋葬する。
彼女は判別が出来ないほど無惨な姿になっていたが、何故だか俺にはシンシアだと見分けが付いた……
本当に何故だか解らないが、彼女だけは……大好きなシンシアの事だけは解らなくなる事はない!
みんなの埋葬が終わった頃、空から涙の様な雨が降り出し、早々に村を立ち去らねばならなくなる。
これ以上ここに留まっても何も出来ない……
俺はリューノちゃんの父親を捜す為……そして憎きデスピサロを倒す為、生まれて初めて村以外の土地に旅立つ!
「誰だ、こんな夜更けに!?」
月明かりもない土砂降りの中悲しい記憶に沈んでいると、家の中から1人の男性が現れ怪訝そうな顔で俺達を見据えた。
「あの……納屋でも良いので、一晩を過ごさせて下さい……」
俺は良い……
俺は雨の中、泥の上で放置されても構わない……
だけどリューノちゃんだけは雨風を凌げる場所で休んでもらいたい。
「こんな雨の中……辛気くせーガキ共だな!? んな所に立っていると、家ん中に雨が入ってくるだろ! さっさと中に入りやがれ!」
乱暴な口調とは裏腹に、泥だらけの俺等を室内へ入れ、綺麗なタオルを貸してくれる男性。
促されるまま暖かい暖炉の前で炎を見詰めていると、
「ほれ、どうせメシも食ってないんだろ!? いきなり現れたんだから贅沢言うんじゃねーぞ!」
と言って、山菜やキノコが入ったシチューを俺等に出してくれた。
「あの……ありがとうございます……」
「けっ! 礼を言われる筋合いはねー!! 丁度メシを食おうとしてた時に、お前等が勝手に現れただけだバカヤロー」
男性は乱暴な口調を変えることなく、俺の礼に反応する。
そして食事が終わると、
「
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