ALO編
episode5 アルン、旅の終わりに
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う。
(でも、な……)
―――助かる可能性が一パーセントでも残っているなら、全力でそれを追え。それが出来ない者に、パーティーを組む資格はない。
いつか聞いた、ゆるぎない言葉は、言葉と同じくあの世界で一番ゆるぎない信念を持って動いていたプレイヤーの一人のセリフだ。それは一つの真実であり、真理であると俺は今でも思っている。
だからこそ。
なんとかして、行きたかった。
この世界樹の向こう……空中都市。最後の、希望の地へと。
◆
差し出した、あらゆる情報。
その情報は、果たして対価として適当だったかどうか。
呆然とするアリシャに俺が求めたのは、単純なことだった。単純ではあるが、この上無く難しいことでもある。何せこのALO内プレイヤー全ての願いと言っても過言ではないのだから。
―――一刻も早く、世界樹を攻略してほしい。
本気で何かを探すなら、探せない場所は、一か所でもあってはならない。
つまりはこの世界に、「侵入不可侵の場所」はつぶしておく必要があるのだ。
別に、それが自種族によって成し遂げられる必要はない。今と同様に行商として上の街に行ければ問題ないし、そもそも自分は飛行自体が苦手(というか嫌い)だ。飛行制限が解除された所で雀の涙ほども嬉しくない。
だから、誰かがクリアすればいい。
誰か……そう、『勇者』と言われる奴がすれば、俺はそれのおこぼれで十分。
そのために各地を回り、それぞれの種族が必要としているだろうアイテムを譲っていったのだ。
この世界の戦力を、引き上げるために。
まあ、そんな思いを語ったわけでもなく、適当に「さっさとクリアせぇやコラ」みたいな感じで言ったのだが、どうやらなかなかに納得されたらしく、アリシャの奴はえらい張り切って竜騎兵隊の整備のための飛竜テイム班の編成やら何やらを早口に捲し立て(俺は聞いても分からんのだが)、果てはシルフとの同盟がどうとかまで言ってやがった。
そしてそこで、俺の痛恨のミスが生じた。あまりに熱心だったためにあまり真剣に話を聞いていなかったことで適当に相槌を打ち続けていたら、「その時は傭兵として頼むヨ!」と言われたときに全く反応できずに頷いてしまったのだ。
全く、意識して混ぜたなら大した策士だ。
……とにかく。
すったもんだあったものの俺は一通りの行商の旅、その最後の首都での交渉を終えたのだった。
◆
「だからですね、手を繋いで。ブロッサムさんと両方から支えてもらってから、」
『私が抱えていっても構いません。貴方の超小柄なその体なら、私なら問題なく抱えられます』
オイコラ、超って言うな、結構
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