ALO編
episode5 アルン、旅の終わりに
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ラマンダーの領地は、その『竜の谷』のすぐそばにあった。その地で獲得できるテイム用のアイテムがあったとしても不思議はないし、このアイテムであそこの竜が捕まえられるのはある意味納得と言える。
「ついでにもう一つ。ここの飛竜は見たところ鞍だけの装備みたいだが、俺はペット用の装備アイテムだろう《竜鎧》の存在を知っているぜ?」
続ける。
甘やかしすぎだろー、と、自分でも思う。
「鍛冶妖精領の西区の外れに、一件のNPC鍛冶屋がある。フードを被った小柄な店主が経営している大して見る物の無い店だが、夜の店仕舞いの直前にケットシーが尋ねるとイベントが発生、『テイムMob用の装備アイテム』を売ってもらえるのさ。普通は馬鎧、牛鎧、あとは亜人型Mobの武器なんかだが、そこにバカ高い装備の『竜鎧』ってのがあってな。……多分、このMob用なんだろうな」
自分の持っている、ケットシーの利益になる情報、アイテム、全部出した。
……全く、タダでこんなことするなんて、行商人失格だ。
さっきまでイジメまくったお返しってわけでもないんだが。
「さて、さて……じゃあ今度は、こちらの『要求』だな」
なぜそんなことをしたのか。一応理由はある。
ある、が、本当にそれだけなのかは、俺にだって分からなかった。
◆
「……んー、どうしたもんかねー……」
これだけ異種族が入り混じっていれば例の秘密兵器……《トリック・クラウンズ・シェイド》でも新しいクエストを見つけるのは困難だと考えて、俺は先に取材……つまりは風景撮影に入った。街の上空をひとしきり飛び回りながら、いいアングルでのスクリーンショットを取りまくり……大きく溜め息をついた。
(ったく、もう何日経ってるかってのに……慣れない)
俺の飛行の才能は、はっきり言って皆無だ。コントローラーを用いた初心者飛行でも、加速減速が上手くいかずにふらふらと安定しない。何とか取った世界樹のスクリーンショットも、多分何枚かボケているだろう。
「だから、私が手繋いで飛びますよ、って言ってるのに……」
「断固拒否する」
「むぅー、どうしてですかー!」
「どうしてでもだ!」
『意外とヘt……純情なのですね』
「……おい今一瞬なんて打ち込もうとした……?」
『タイプミスです』
横からのあれやこれやの横槍に突っ込みを入れつつ、再びの溜め息をつく。
(もう、あそこにしかねえかもな……)
探し続けている、あの世界の残り香。もはや残り香とすら言えないような、ほんのわずかな気配の様な、システムのバグと俺の勘しか根拠のないもの。残っているとしてもそれが俺の望むものとは限らないし、残っている可能性は限りなく低いだろ
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