ALO編
episode5 旅路、猫妖精領2
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ったままの状態で、音を抑えて溜め息をつく。
領主館の廊下が無駄に豪華で助かった。
所々のシャンデリア、豪華な燭台、彫像。掴まるところには事欠かない。行商中に手に入れた《透明化マント》は、索敵生物や高レベルの《索敵》であっさりと破られるが、どうやら向こうはそのどちらも実行する気は無い様だ。それどころか、周囲の人気を気にする様子も無い。ここまでせずとも、後ろから足音消して歩くだけでもなんとかいけそうなくらいだ。
と、歩いていたアリシャが、でかいドアの前で停止。
何やら大袈裟な動作をした後、ゆっくりとそのドアを開いていく。入るらしい。
(よいしょ、っと!)
開ききり、アリシャが入っていく。その後ろから、素早く無音で扉の隙間に滑り込む。
そして。
「っ、うぉっ!!?」
眼前に現れた景色に、思わず声が出てしまった。
◆
大広間……というか、でかいホールみたいな広さのそこは恐らくは、飼育場、とでも言う所か。
(うおぉ……)
牛や馬といった現実でもお馴染みの生き物から、それらに妙な羽やら角やらが生えたファンタジー御用達の怪物たち。果てはなんだかよく分からない獰猛そうな化け物も、パタパタと飛ぶ小さなピクシーまでいた。
だが、そんなもんで、ここまでの広さは必要ない。
そして、俺が思わず簡単の声を上げてしまうほどではない。
その二つの理由は。
「で、でけえ………!」
目の前に勇壮に鎮座する、一頭の巨竜だった。
羽を渡せば恐らくプレイヤーの数倍はあるだろうというその巨体は、邪神級とまではいかずともかなりのハイレベルモンスターだろう。ドラゴンは確かに伝説では強者の代名詞で、テイムできるのは小竜やせいぜい竜兵といった程度だと思っていた。
それがまさか、ここまでの巨竜をテイムするとは。
「だ、だれっ!? なんでココに、エ……し、シド……?」
おっと、見とれちまっていた。驚いた声で我に返って見やると、そっちも負けず劣らず驚いた表情のアリシャ……だったが、俺だと分かった瞬間、その表情に安心が浮かんだ。
それを見た瞬間。
―――クソ……
ドクン、と心臓が脈打った。
その表情に、嫌悪感……とまでは言わないが、胸の奥底がザラつく、堪らない不快感を感じた。
俺なら大丈夫だ、そう信じ切っているその目に、言いようのない胸の軋みを感じる。
その痛みが、俺の体を、想定していた以上の力で想定していた以上に辛辣に突き動かす。
「おーおー、こいつはすごいな。これがケットシーの秘密兵器ってワケか」
「え……う、ウン、まあ、」
「この情報は、風妖精とかに高
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