ALO:フェアリィ・ダンス〜両刃の剣と天駆ける龍〜
偽物の王と偽物の龍
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何でもいい。悪魔でもいい。この魂を生贄に捧げてもいい。
あの男を――――須郷を切り倒し、アスナをもと要るべき場所に帰らさせてくれるのであれば―――-。
思い上がっていた。
剣さえあれば、なんでもできると思っていた。俺は、魔王を倒してアインクラッドを、そこに閉じ込められたプレイヤーたちを救った英雄だから。勇者だから。
だが所詮、俺は一人の子どもに過ぎなかったのだ。本当なら、権力のある大人たちに任せるべきだったのだ。しかし俺は、仮想世界の出来事なら自分の力でどうにかできると過信し――――
『逃げ出すのか?』
そうじゃない、現実を認識するんだ。
『屈服するのか?かつて否定したシステムの力に?』
仕方ないじゃないか。俺はプレイヤーで奴はゲームマスターなんだよ。
否定するキリトに、なおも声は言う。
『それは、あの戦いを汚す言葉だな。私に、システムを上回る人間の意志の力を知らしめ、未来の――――人間という生き物の可能性を悟らせた、我々の戦いを』
戦い?そんなものは無意味だ。ただの数字の増減だろう?
『そうではないことを、君は知っているはずだ。さぁ、立ちたまえ。立って剣を取れ』
『――――立ちたまえ、キリト君!!』
「ぐぁぁあああ!?」
その悲鳴が聞こえたのは、その時だった。
「……!?」
目を開けると、須郷の右腕が切り落とされていた。それを成し遂げたのは―――――――漆黒の水晶でできた、大剣。
そしてそれを握るのは、黒い髪に真紅の翼をもった少年。
装いはかつてと違えど、キリトはあの人物を――――あの顔を知っている。
「……ハザード」
「立て、キリト。お前がここで終わる人間じゃないことは、みんな知ってる。兄さんは、だからお前を認めたんだ」
ハザードはキリトに背中に突き刺さっていた剣を抜き取ると、キリトの前にころがした。
そして……聞いたことのない文字の羅列を唱え始めた。
「システムコマンド。アクセスID《ヒースクリフ》、パスワード《**************》。スーパーバイザ権限変更。ID《オベイロン》の権限をレベル0に。ID《キリト》、並びに《ハザード》をレベル10に変更。同時にペイン・アブソーバーをレベル0に」
「なっ……あっ、あああああああああ!!!」
須郷の青いシステムウィンドウが消滅し、同時に須郷が苦痛の悲鳴を上げる。切り落とされた右腕が、リアルな、もしかしたらリアルよりもなおひどい痛みを奴に与えているのだ。
「決着をつけるぞ。偽物の妖精王と、
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