第百二話 どっちもすげえ攻防だな!
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本も何十本も何百本も次々と触れては一瞬でジュッと音と共に消えていく。
シャオニはいきなり現れた白い雷に驚き顔を歪めるが、それ以上に苦悶の表情をしているのは、シャオニの攻撃を防いで、優勢になったはずのタイセーだった。
「ううっ! アカンしんどいっ!」
タイセーの我慢し切れない声でソレは消える。
だが、もうすでに『髪雨(ヘアーズレイン)』も全て消滅している。
シャオニも驚愕した様子で地面に着地をする。
「ひゃ〜一本も当たらなかったの?」
信じられない表情で呟く。
だが、これがミラニが気をつけろと言っていた白い雷なのだとしたら、確かにとんでもない魔力が込められた魔法だった。
「はあはあはあ、やるな俺!」
息を乱しながら自画自賛(じがじさん)をするタイセーだが、その防御は確かに完璧だった。
「さすがだなタイセー」
ミラニはタイセーにも聞こえるように称賛の声を上げる。
すると、彼はVサインを作って見せつける。
だが見せたのはセイラに対してだ。
「ちゃんと見とったセイちゃん! 惚れ直したやろ?」
「はいはい、どうでもええから試合に集中しぃや」
呆れながら声を漏らす。
「団長ちゃん、アレってまさか?」
シャオニが視線だけをミラニに向ける。
「そうだ、アレが『白雷(ホワイトサンダー)』だ。彼の魔法そのものが二つ名になっているのだ」
「へぇ……白い雷……面白いじゃん!」
楽しそうに口角(こうかく)を上げる。
「面白いとは言うがな、『白雷(ホワイトサンダー)』は危険だぞ! あまりの高熱のために本来の色を失った灼熱(しゃくねつ)の雷なのだからな!」
「ふうん、そういうことかぁ」
興味深そうにタイセーを見つめる。
「そ、そんな見つめてもアカンで! 俺にはセイちゃんという可愛い嫁がおるんやし!」
だが満更(まんざら)でもないような顔つきで言う。
するとセイラがハエを追っ払うように手を払いながら言う。
「良かったら持ってってええで?」
「ええっ!?」
セイラの言葉に心にダメージを受けるタイセー。
シャオニは冷静にタイセーを見て笑う。
「フシシシ、面白いねぇ。でも、今の『白雷(ホワイトサンダー)』ってやつ、相当魔力使うみたいだよねぇ」
「アカン! もうバレた!?」
いやいや、そんだけ息乱して、しかもしんどいって言ってんだから誰でも分かるよと、観客達から声が聞こえる。
「だが昔はあんな量は出せなかったし、持続時間も短かかった。修練したなタイセー?」
ミラニの問いかけに頷きを返す。
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