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トーゴの異世界無双
第百一話 油断したなミラニ
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が両手を動かせないことを知られてしまう。
 そうなったら一気に攻め込まれる。


(だがどうする……? 足は何とか動くが、このまま闘えるほどでは……)


 ミラニは何とか表情には出さず、思考をフル回転させる。
 この状況で自分にできることを必死に考える。
 少し休めば麻痺も完全に回復してくれるとは思うが、それまでタイセーの攻撃から身を守るのは至難の業だ。
 いや、足に重大な麻痺は無いとはいえ、軽い症状は残っている。
 恐らくこの足で逃げ続けるのは不可能に近い。
 いつまでも立ち尽くしているミラニの様子が気になり、じっくり観察していたタイセーがとうとう気づいてしまう。


「ミラニちゃん……もしかして拾えへんの?」


 タイセーは半ば確信しながら問う。


(気づかれた!)


 ミラニは仕方無く剣を拾わず一歩下がる。
 とにかく少しでも距離を取り、逃げやすい状況を作る必要がある。
 だがタイセーは、今のうちに戦闘不能にさせようと近づく。


(マズイな……!)


 するといきなり声が届く。


「団長ちゃん! タッチだよ!」


 そこで思い出す。
 そうだ、これはタッグマッチだったと。
 自分一人で闘っているのではなく、パートナーがいるのだとそこで気づかされた。
 できることならこのまま闘いたかったが、無理をしてシャオニに迷惑を掛けるのも、自分の中では許されないことだった。
 だからミラニは決断する。
 今はシャオニと交代して体を休める場面だと。
 ミラニは地面に置かれてある自分の剣を見て、足で柄を弾くように踏む。
 すると、剣は弾かれたように少し宙に浮く。
 そこを見計らってミラニは柄をまるでボールを飛ばすように蹴る。
 剣はミラニの思い通りに、タイセーに向けて飛んでいく。
 それを見てギョッとなるタイセーだが、足を止め、咄嗟(とっさ)に剣を抜きそれを弾く。


「危なっ!?」


 その間にミラニはシャオニのもとに急ぐ。


「うわ! やられてもうたぁ!」


 できれば、交代する機会を奪い、ミラニを倒しておきたかった。
 ダメージを負ったミラニなら戦闘不能にできると思っていたが、どうやらミラニの方が一枚上手だったようだ。
 まんまとパートナーのもとへの到着を許してしまった。
 シャオニは近くに来たミラニの肩に手を置いた。


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