第百二十四話 評判その十
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「あの方です」
「まずはあ奴か」
「やはり織田家で第一の腕っ節の方です」
柴田は戦において采配だけでなく武芸でも凄いものがあるのだ、その武芸は慶次よりも上である程だ。ただ采配に専念し己が闘うことは稀だ。
「ですから」
「それで権六じゃな」
「あのコア他の忠義については言うまでもないかと」
「うむ、それはな」
最早と信長も返す。
「言うまでもないな」
「はい、ですから」
「権六は目立つがな」
大柄でしかも筋骨隆々の身体だ、しかも髭だらけの顔だ。そこまで武張った雰囲気で目立たない筈がないのだ。
「しかしそこは何とでもなる」
「では」
「うむ、連れて行く」
柴田がこれで決まった。
「あ奴はな」
「それで、です」
小寺はさらに言う。
「あと二人か三人の方になりますが」
「それは誰じゃ」
「毛利殿と服部殿は欠かせぬかと」
常に信長の傍にいて彼を護っている二人はというのだ。
「お二人は」
「そうじゃな。あの二人は必ず置く」
「さすれば」
「そして最後は誰じゃ」
信長はさらに問うた。
「誰がよいか」
「はい、内蔵助殿かと」
佐々だというのだ。
「あの方です」
「ほう、あ奴か」
「又左殿も頼りになりますがあの方は派手な身なりを好まれます」
傾奇者として知られている、このことについては慶次に匹敵する。
「それで目立ちますので」
「普段ならともなくな」
「はい、お忍びですから」
目立つのは、というのだ。
「そう思いまして」
「又左と同じだけ腕が立ち忠義者でじゃな」
「目立たぬあの方です」
「わかった、ではじゃ」
これで四人が決まった、しかし小寺は信長にさらに言った。
「それは陽でありまして」
「陽といえばか」
「はい、陰もあります」
それもだというのだ。
「そちらも用意すべきです」
「ならば久助じゃな」
「左様です」
まさに彼だった。
「滝川殿とその手の忍の者達には陰からです」
「わしの護りになってもらうか」
「言ってしまえばこれまで通りですが」
それでもだというのだ。
「相手が相手です、普段以上に」
「ではな」
「はい、それでは」
これで全てが決まった、すぐにその四人と滝川が信長の前に呼ばれる。まずはその陰から護る滝川が言った。
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