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【IS】何もかも間違ってるかもしれないインフィニット・ストラトス
役者は踊る
第七幕 「専用機は伊達じゃない」
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、それは決して根拠もなく言っているわけではないことを山田先生が説明する。

「セシリアさんの使うBT兵器はその性質上オールレンジ攻撃が可能なんです。ライフル一丁にも手こずっていた織斑くんを狙う砲台が1つから5つ、しかもその砲台全てがバラバラに狙ってくるとなると・・・」
『・・・それは確かに勝ち目は薄いでしょうが、方法はないんですか?弱点とか欠点とか』
「絶対に不可能とは言いません。本来、BT兵器は操るのが難しいですから使っている間は肝心の本体の動きが鈍くなってしまうという欠点があります。しかし・・・」

そこで言いよどみ、意を決したように言い放つ。

「セシリアさんは既にその欠点を克服しています」
「ああ、確かにそれは無理ですね」

現実は非情である。



 = = =



「う、お、おおおおおおおお!!」
「あらあら、さっきの勢いは何処へ行ってしまったのかしら?」
(こんなの反則だろっ・・・!!)

雄叫びをあげて自分を鼓舞しながら四方八方より迫るビットを全力で避ける。
計五か所からの攻撃は、ISのハイパーセンサーなしで避けるのは不可能だろう、等と考えながら機動を続ける。
しかし全力で避けてもレーザーを避け切ることは敵わず、さっきから脚部、スラスター、腕とあちらこちらに掠ったり被弾したりしている。奇跡的に今のところ姿勢制御は失敗していないが既にシールドエネルギーは残り5分の1を切り、一瞬でも気を抜けばレーザーで串刺しになるであろうことは想像に難くない。

――万策尽きた。そう考えざるを得なかった。ビットを斬って数を減らそうにも本体と他のビットが巧みに阻止し、肝心の本体は弾幕が突破できないために辿り着けない。そうこうしているうちに、また一発のレーザーが肩を掠る。

「ぐぅあっ!?クソ、このままじゃ手も足も出ねぇ・・・!」
「・・・・・・」

セシリアは何も言わずライフルのスコープ越しにこちらを見ている。
―――それで終わりか、とでも言わんばかりの目つきで。そこからは一種の失望すら感じられる。
何か言い返したいが、言う言葉が出てこなかった。
確かに今の一夏は――自分の事を無様と感じていたからだ。

(ここまで・・・なのかよ?俺は・・・皆を守る存在にはなれねぇのか?
 皆に応援してもらって、手伝ってもらったってのに・・・)

分かってはいたのだ。勝ち目が薄い事くらい。
周りからも言外にやめた方がいいと言われ、それでも諦めなかったのは、俺が守られるだけの存在じゃないことを証明したかったからだ。男が皆弱いみたいな考え方を否定したかったからだ。
だけど・・・ああ、今にして思えば何と無謀だったのだろう。こんなに差があるなら、確かにこの試合はやるだけ無駄だったのかもしれない。


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