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とある六位の火竜<サラマンダー>
勝負
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た。その時、松野にかけられる声。

「……やっぱ駄目だ。」
「つっ……!!」

驚いて振り向く松野の目に飛び込んできたのは

「悪いな松野。やっぱ……負けれないわ。」

そう言ってボロボロで立ち上がる蓮の姿だった。





「な、なんで……なんであれくらって立てるんだよ……」

驚愕に顔を染めながら声をもらす松野。それを聞いて蓮はボロボロだがしっかり自分の足で立ちながら答える。

「なんでか?俺だってよく分かんないよ。なんでこんなしんどい思いをしてまで立ってんのかなんて。」

そもそもこの勝負自体、蓮に大したメリットはない。ならば先の攻撃を受けた時点で負けを認めても良かったのだ。実際普段の蓮ならそうするだろう。

「でも負けたくないと思っちゃったんだよ。ただただ負けたくないって。」

今の蓮が立っている理由。それはこの気持ちだけ。

「俺は佐天と初春に似たような、でもどこか決定的に違う感情を抱いてる。同じなのはどちらも俺にとって大切な人だってこと。違う部分がある理由が佐天のことを好きだからなのか分かんないけど……」

ボロボロで自分の気持ちを口にし続ける蓮に松野は口をはさむこともできない。

「それに俺、今日の勝負は負けるつもりだったんだ。」
「なっ……!?」

驚く松野に蓮は自嘲の笑みを浮かべながら言う。

「俺みたいな自分の気持ちもはっきりしてないやつが松野みたいなやつの邪魔しちゃいけない。そう思ったんだよ。俺に邪魔する資格はないって。」

松野は1度失敗しても自分の気持ちを曲げずにはっきりとさせ諦めなかった。そんな松野が蓮は少し羨ましかったのだろう。

「だからさっきの攻撃を受けた時点で立つつもりはなかった。……でも無理だ。この気持ちが佐天のことを好きだからなのかはやっぱはっきりしないけど、負けたくないって気持ちははっきりしてるから。」

蓮はそこで大きく息を吐くとはっきり宣言する。

「だからもう手は抜かない。本気で、絶対に負けない。」
「………そっか。そうこなくっちゃな!!」

自分の気持ちをはっきりと宣言した蓮を真っ直ぐに見つめ、松野は楽しげに笑った。





足元の地面が揺れる。

「無駄だっつーの!!」

軽く避け、さらに目の前に迫っていた水球を炎球で相殺する。そして松野に向かって走り出すが、また地面が揺れ出して避けるために離れる。それを何度か繰り返すうちに

「ちっ……!またかよ……!!」
「よしっ!!」

気づけばまたもや全方向から迫る水。それが蓮に叩きつけられそうになり、松野は自分の勝利を確信した。その時、蓮に迫っていた水が全て蒸発する。

「なっ……!?」

中心に立つのは竜の炎を纏う蓮。一瞬で水を蒸
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