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とある六位の火竜<サラマンダー>
勝負
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いも一蹴した松野はもう1度蓮に向かって水球を全力で放った。





「うわ…」
「凄い……」

物陰で蓮と松野の勝負を見ていた佐天と初春は感嘆の息をついていた。あとをつけて行ってみれば蓮と松野がいきなり闘いだし、最初は驚いて止めようとしたが止めれるような状況ではなかった。

「でもなんであの2人が闘ってるんですかね……」

初春の言葉で佐天の脳裏に浮かぶ昨日の告白。

『好きです!付き合ってください!!』

昨日システムスキャンが終わった後、空き教室に呼び出されて行ってみると告白された。突然のことに驚いたが

『ごめん……。気持ちは嬉しいんだけど……』

と断っていた。松野のことは嫌いではなかったが恋愛対象ではなかった。断ったのは間違いではないと佐天は思っている。真剣な想いを適当に受けることはできないから。だけど

(だけどもし、あたしのせいでこんなことになってるなら……)

自分のせいでこうなっているかもしれない。しかし、無能力者の自分は能力者の闘いを止める力はない。

「佐天さん……?」

佐天は目の前の闘いで自分の無力さを再確認させられている気分だった。





「はぁはぁ……だあっ!!」

松野は正直驚いていた。レベル5相手に自分がまだ闘い続けられていることに。

「ちっ……ホントにめんどくさいな!!」

舌打ちをする蓮。その間にも松野は水球を放ち続ける。戦況はだんだんと松野の有利に傾いていっていた。松野が受けたダメージは最初の1発のみ。対する蓮は松野の水球に接近を阻まれ、避けきれなかった水球によって体のいたるところに痣をつくっていた。

(これなら勝てる!!けど、これじゃ決定打にはならないから……)

松野は頭で考えをまとめると、水球を止めて地面に手をつく。

「同じ手をくらうか!」

噴き出した水は蓮に避けられてしまう。しかし、蓮が避けた先の地面からも水が噴き出す。

「おっと……!!」

それも避ける蓮だが、その先の地面からも水。たまに水球による牽制を挟みながら、それを繰り返す。それは蓮をどこかに誘導するように放たれ続ける。

「いい加減に……ってなっ!?」
「もらった!!」

そしてついに蓮が追い込まれる。蓮に水が迫る方向は全方向。地面が揺れているところから見るとご丁寧に地面からも迫っているようだ。

「あっ、詰んだ……」
「いっけええええ!!」

小さな蓮の呟きと松野の叫びで水が全方向から蓮に叩きつけられる。

「はぁ……はぁ……か、勝った……」

そこに残ったのは倒れる蓮。松野は呟く。

「ワガママに付き合ってくれてありがとな、神谷。」

そして軽くふらつきながらもその場を後にしようと蓮に背を向け
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