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Report6-4 ヘルメス/アクトレス
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たったさっきまで接客していたはずの売り子(中)が彼らの真正面に立っていたからだ。
「エリーゼとローエンにはアナタが通るルート、張ってもらったのに。彼よりアナタが後に着くなんて予想外」
「え、……あー。おたく、エリーゼとローエンの知り合い?」
「分からないの?」
「悪いけど、その、俺とおたく、会ったことあったっけ」
売り子(中)はフリルのエプロンのポケットから出したメガネをかけた。
「ユティーーーー!?」
メガネを外したら美人とかいう巷の超法則ではなく、そもそも彼女がメガネを外した顔を知らなかったゆえのリアクションである。
(これで気づけとか難易度エクストリームモードじゃねえか)
「知り合いか?」
「友達っつーか、妹分っつーか……ルドガーんちの居候その2」
「ユースティア・レイシィ。前にクランスピア社の企業プレゼンで会った。アナタは覚えてないかもしれないけど」
「……、ああ、思い出した。あの時ルドガーやレイアと一緒にいた子か」
「こんなとこで何してんだよ。クエストか?」
ユティは首を横に振った。
「じゃあ何してんだ」
「ひとりエイプリルフール」
「「は?」」
「今日はユティだけのエイプリルフールなのです」
「……アルヴィン」
「すまん。俺にも通訳不能」
そうこうしていると、売り子(小)もトタトタと駆けてきた。――驚きを通り越して肩を落とした。
「何でエルとルルまでいんのよ……」
エルはともかく、まさかルルまで客寄せに使っていようとは。しかもルルは首輪の代わりに蝶ネクタイを締めていた。
「何言ってるのっ。アルヴィンとユルゲンスのためじゃん。ふたりとも来るのおそすぎ!」
エルは腰に手を当てて仁王立ち。
「お前の差し金か、アルヴィン」
「いくら俺でもここまで大規模にやんねーよ。おい被疑者、釈明を求めるぞ」
ん、とユティは素直に肯いた。
「企画立案実行はワタシ、ユースティア・レイシィ。でも主催者の名義はアナタたち二人」
「ふたりが言ったんでしょ。リーゼ・マクシア産のシンセンなフルーツのじゅ、じゅ…」
「需要」
「そう、ジュヨウ! を、エレンピオスの中に、う、生み出したい、からっ、じ、っしょく? ハンバイ、エルたちにも手伝えって!」
「よく言えました」
「ま、待ってくれ。俺もアルヴィンもそんなこと一言も」
女子学生らしき二人組が、試食させてほしいと声をかけてきた。エルはルルを連れて、トレイを客のもとへ持っていった。幼女と猫の黄金コンボに女子学生は黄色い悲鳴を上げている。
「アレ、アナタたちが卸したパレンジとナップル使ったパイ。これからホントの取引してったら、ここにある笑顔がもっとたくさん広がるの。ユルゲンス、ど
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