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Report6-3 ヘルメス/オンステージ
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。おたくの生真面目さ、俺は好きだけどね? 硬派すぎると女子供は逃げちまうぞ」
「そういうものか。上手くできるか自信はないが、やってみる」
そこまで話して、お互い、はっと、まさに自分たちが冷戦中だと思い出し、押し黙った。
一度朗らかに話してしまった分、沈黙がよけいに辛い。
「アルヴィン! ユルゲンスさん!」
「ぉわ!?」
不意打ちで声をかけられ思わず妙な声を上げてしまった。責任転嫁気味に声の主を怒鳴ろうとふり返る。
「ジュード! おたくなぁ、いきなり」
「二人とも先に着いてたんだ。あーあ、僕が一番最後かぁ。仕事上がって急行で飛んで来たのに」
「「???」」
分からない。ローエンとエリーゼといい、ジュードといい、一体何を言っているのか。これではまるでアルヴィンとユルゲンスも参加者――いや、主催者であるかのようだ。
「じゃあ僕、ブースに入ってルドガー手伝うから。――ルドガー! お待たせ! もう裏に専念していーよ!」
「あああぁぁぁ〜待ってたぜジュード〜。一人でパイ作ってレジして、ぶっ倒れるかと」
「うわーごめん!!」
壁で仕切ったブースの奥から、エプロン着用のルドガーが出てきて、ジュードの応援を心底喜んでいる。
(誰かこの謎しかねえシチュエーションを説明してくれ……)
アルヴィンが顔を覆って項垂れていると、客の輪から黄色い歓声が上がった。
「おいしー! ねえここ何てお店?」「なんかこのすっぱいのクセになるよねー」
「申し訳ありません。こちらはフルーツの卸売を専門としていますので、パイの提供はこのフェアの期間だけなんです」
「「えーーっ」」
「パイをお気に召されましたなら、お買い上げの際にお付けするレシピをご覧ください。作り方はピーチパイとほとんど同じですから」
ん? アルヴィンは頭をひねった。この売り子の声、どこかで聞いたような……
「やっと来た」
アルヴィンとユルゲンスは同時にずざざ、と後ずさった。
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