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Report6-3 ヘルメス/オンステージ
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ある日、アルヴィンがトリグラフの駅前を通ると、何やら人だかりができていた。しかも人だかりを作っているのはアルヴィンの友人たち。
「エリーゼにローエン。何してんだよ」
「これですか? 宣伝のビラ配りを頼まれたんです」『お客さん集め中なんだ〜』
彼らは分厚い紙束をそれぞれに抱え、駅に入っていく人が通るたびにビラを精力的に渡していた。
「こういうロビイスト運動も新鮮でいいですねえ」
「へえ。駅前ってのはポイント高いな。興味があればすぐ移動できるし。イベントでもやってんのか。モノ見るに菓子売りみたいだけど」
「それはアルヴィンが行ってみれば分かることです」
エリーゼがチラシを一枚アルヴィンに突き出した。アルヴィンは彼女の笑顔に気圧され、受け取った。
列車に乗ってチラシに書かれた会場――マクスバード/エレン港へ行ってみると、そこはそこそこ多い客で埋め尽くされていた。
(客層を見るに、放課後の女子学生と、夕飯前の空き時間に散策に出た観光客ってとこか。女性にターゲットを絞ってるのか。キャンギャルは……発見。あの子供と女の子の二人か。ちっこいのが試食の呼び込みで、中くらいのが細かい応対)
にわか商人らしくついマーケティングしてしまうアルヴィン。
「エレンピオス進出開業記念のフェアを開催中です。パレンジとナップルを合わせて5個以上お買い上げいただいた方には、ただいまご試食いただいておりますパイのレシピを無料で差し上げています」
売り子(中)の口上。主婦層のいくらかは「あらじゃあもう一個買おうかしら」と乗せられている。上手い。エレンピオスの、特に女性は、「無料」だの「おまけ」だのが大好きだ。
(や、リーゼ・マクシアでもそうかもだけど……パレンジとナップルかよ)
つい先日、最初で最後の仕事と覚悟して、ユルゲンスと組んで卸したパレンジとナップル。かさぶたにうっかり爪を引っかけたような不意打ちの鈍痛が胸を襲った。
つい目を泳がせると、客層から明らかに浮いた人物を見つけた。
アルヴィンはぎょっとした。慌ててその人物へと駆け寄る。
「ユルゲンス! 何でおたくがここにいんの」
「アルヴィン。そういうお前こそ何で」
「俺は……エリーゼに行ってみろって言われて」
「エリーゼに? 俺も彼女からこのイベントのチラシを渡されて来たんだ」
ユルゲンスが出したのは、アルヴィンがエリーゼに貰った物と寸分違わぬレイアウトの紙。
「来てみたらフルーツ販売の宣伝だというから、参考になればと思って見回っていたんだが、何故かイベントの関係者だと思われて客に質問攻めにされて――はあ〜。正直お前が来てくれて助かったよ」
「おたくさあ、商売やろうって人間が客の選り好みしてどうすんの
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