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レンズ越しのセイレーン
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Report6-2 ヘルメス/メインアクター
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サーは小切手を書き終えると、台帳から破り取って差し出してきた。確かに、とアルヴィンは小切手を受け取った。額に誤りがないか確かめる。

(『ユルゲンス=アルフレド商会様』か。この名前を拝むのも今日が最後かもしれねえんだな)

 感傷は押し込めて。アルヴィンは領収書に相手の照会名と自分たちの照会名、必要事項を書き込んでアーサーに差し出した。アーサーが受領する。

「――確かに。本日はありがとうございました」
「いいえ。こちらこそ……本当にありがとうございました」

 立ち上がる。アルヴィンとユルゲンスは交替でアーサーと握手した。



 こんな波乱のない普通の商売が、最初で最後のコンビでの仕事。
 この日のアルヴィンは、そう覚悟していたのに。
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