物語はここからだ!!
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エール…」
ルイズの背中を押したのは、耳に残っていた秋晴の呟くような励まし…もうすぐ報われるという一言だったような気がするが、次の瞬間に起こった爆発により、ただでさえ薄れていた記憶は完全に吹き飛んだ。
――――――――――――――――――
「ん、無事に主人公の召喚に成功したようだな〜」
魔法学校の屋根の上、秋晴は舌を見下ろしながら薄く笑っていた。
例によって例の如く、ルイズの魔法は爆発したようだが、今回は煙の向こうに少年が一人腰を抜かしているのが見えた。
ルイズが心配したように、天文学的な確率で新たに召喚されたのが面倒なオリ主である可能性を考え、待機していたのだが、どうやらそれは杞憂だったらしい。
見覚えのあるジーンズとパーカー姿は、電気店ですれ違った少年であった。
寄り道をしたが、ようやく本来の主人公の到着である。
ここから、この世界の物語は始まるのだ。
「それにしても、おっかないな〜」
もはや苦笑するしかない。
中立で公平であるべき秋晴に、肩入れしたいと思わせるとは…ついつい助言と言うか励ましの言葉をかけてしまったが、あの程度ならば大筋を歪める事にはなるまい。
主人公補正というのかもしれないが、魅力があり過ぎるのも考えものである。
そんな事を思う秋晴の視線の先では、契約のキスをされた才人が目を白黒させ、ついで左手を濁って苦しみ出した。
「さて…じゃあお手伝いさんは撤収しますかね」
この世界は彼等が主人公になる世界、秋晴は彼等がこれから遭遇するであろう様々なトラブルや障害を思い、それを経験にしていく前途に幸あれと願いながら、世界を後にした。
たとえ誰かに考えられた世界であっても、彼等はそれを知らぬまま、自分の人生を全力で生きていく。
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