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 少し考えてから、秋晴はそう返した。
 公害やそれに伴う病気、自然破壊などの問題がある。
 その点、魔法はあくまで個人の能力であって汎用性に乏しいが、この上なくクリーンな技術と言えなくもない。
 一長一短と言った所だろう。

「そもそも、比べる事に意味はないだろう?…この世界は最初から魔法がない形で文明が進化してきたんだから」
「……」

 あるいは、魔法がもっと一般的で物質社会より優れていたなら、この世界もハルケギニア同様、魔法を伸ばす形で進化していたかもしれない。

「でも…あの呼び出された奴は貴族の収める社会を間違っているって思って、貴族をなくそうとしたんでしょう?」
「アレは馬鹿がバカな理由で暴走しただけで、それが貴族社会が劣っている事とイコールで結ばれるわけじゃない」

 例えば、日本の社会システムは完璧かと聞かれれば、NOと答えるだろう。
 政治家の不正や汚職など、それこそ新聞を開いてニュース番組を見ればいくらでも出てくる。

「…別に、貴族制が間違っているとは思わないよ」
「本当?本当に?」
「少なくとも、俺はそう思う」

 むしろ人間の性質としては正しいのではあるまいか?
 基本的に、人間とは群れを作って生きる者だ。
 ならばそこには代表が現れ、それを補佐する為に周辺に幹部が集まる。
 つまるところ、貴族制の形とはその発展形なのだ。
 誰かに押し付けられたわけでは無く、自然発生的に成立したシステムである。

「で、でも…この世界に貴族はいないんでしょう?」
「いないわけじゃないけど…少なくはあるね…特にこの国にはいない。この日本と言う国では代表は国民が選ぶ者だ」
「平民が…」
「それでも問題がないわけじゃない」

 問題がなければ、汚職政治家や賄賂なんて言葉は生まれないだろう。
 表だっていないだけで、確実にいる。

「君の世界でも平民を虐げる貴族がいないわけじゃないだろう?」
「それは…」
「世界が変わっても人間の本質は変わらないというわけさ、間違うのは何時だって人間の方だ」

 正しく運営されるのならば、貴族制でも民主制でも大差は生まれない。
 問題はシステムを動かす人間がそのシステムの恩恵を悪用する時だ。
 それが顕著に出やすいのが貴族制と言うだけの事である。
 人間は代替わりをしていくもので、同じ人間など一人としていはしない。

「ルイズ…君が混乱しているのはそんな理由じゃないだろう?」
「……」
「自分で分かっているはずだ。君は“この世界に魅かれている”」

 彼女の人生を考えれば無理もない。
 貴族…メイジになろうとしてまともに魔法を使えない彼女、馬鹿にされてきた彼女だが、こちらの世界でならば馬鹿にされる事はない。
 この世界には魔法
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