第三話
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いた。
「!?」
悠斗は何かを察知したのか、すぐさまその場から離れる。
その数秒後、悠斗が立っていた地面には刃物で切りつけられたような傷が出来上がっていた。
(半透明の物体……刃物……もしかして!)
状況は最悪に等しかった。姿が見えない上に刃物による攻撃。あたってしまえば命の保障はない。悠斗の背中を悪寒がはしっていった。
「雛さん! こっちへ来て……!?」
危険と判断した悠斗が雛を呼ぼうとしたときだった。
彼女はわけがわからずに悠斗のほうを見ている。その背後には、半透明の物体が音もなく飛びかかろうとしていた。
(間に合わない!)
悠斗はほとんど無意識の状態で銃を構えると、そのままの勢いで発砲した。
「……!」
銃から飛び出した弾丸は一直線に飛ぶと、雛の顔の横をすり抜けて半透明の物体にぶつかった。いくつかの破片が飛び散り、半透明だった物体も少しずつその正体をあらわにしていった。
「えっ!?」
「こっちへ!」
何が起きたかわからず呆気にとられている雛を、悠斗はすぐさま自分のもとに引き寄せた。
「なっ……なにがおきてるんですか!?」
「噂ではまだ試作段階だって話だったけど……もう完成していたなんて……」
悠斗は弾丸を受けて破損した物体を見ながらそういった。
「これは……いったい……」
「戦闘用のアンドロイド……試作1号機だよ。忍者の戦闘をベースとしていて……近距離をメインとしてる。近距離の戦闘能力でいえば……この世界の人たちと互角だろうね」
「ごめいとーーーう!!」
悠斗が物体の説明をした瞬間、どこからともなく声が発せられた。
「この声……牧野博士か」
「さすがですねぇ……元看守さん。まあ、それぐらい当然だろうとは思っていましたが」
そう言って、牧野は軽く笑っていた。
「……あんたは消えてるのか?」
「いえいえ。私はそこにはいませんよぉ? 私には総司令官の護衛という任務がございますから」
「護衛……」
「そちらに残っているのは最低限の兵士と数十体の一号機『影丸』。あと、指揮を取る方が一名でしょうか?」
「指揮……クルト大尉か」
悠斗がそう言うと、牧野は関心したのか「ほう」と呟いていた。
「大尉らしいな。俊司君が来るとわかってそうしたんだろう?」
「どうでしょうかねぇ。ただ、ひとつだけわかっていることがありますが」
「わかっていること?」
「……彼はすでに命を捨てています。まあ、タダでというわけではなさそうですが」
「!」
牧野の言葉を聞いた瞬間、悠斗の背中
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