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東方守勢録
第三話
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厄神さんで行ってもらうわ」

「私達二人ですか?」


雛は不安そうにそう言った。


「時間の都合上仕方ないわ。悠斗君はあの子から武器をもらってるわね?」

「はい」


悠斗は返事をかえすと、腰に添えていたハンドガンをホルスターから抜き取った。


「じゃあ俊司君、場所を教えてあげて」

「ああ。確か……そこの角を右に曲がってからまっすぐ進んで、曲がり角を左に曲がってください。そこが監視室だったと思います」

「わかった。行こう雛さん」

「はい」

「気をつけてください!」


見送ってくれる三人に悠斗は軽く笑みを返すと、雛と共に監視室に向けて走って行った。


「さ……私達も行きましょう」

「とりあえず上に向かうか」

「そうですね」


俊司達も、自分たちがやるべきことに向けて、その一歩を踏み出して行った。












監視室前


「ここだね」

「はい」


捕虜監視室と書かれた部屋の前で、悠斗達は深呼吸をしていた。


「じゃあ……あけるよ」


悠斗は近くにあったカードリーダーに手をかざす。そのまま、自身の力をカードリーダーに流していった。


『IDカード認証完了』

「よし」


悠斗の力に反応したのか、鍵がかかっていたはずの扉はゆっくりと開いた。

部屋の中に警備の兵士はおらず、鉄格子のなかには捕虜の姿が微かに見えていた。どうやら霧の湖の基地のように、捕虜が護送される前についたようだった。


「誰も……いませんね」

「……行こう」


悠斗と雛は、辺りを警戒しながらゆっくりと中に入って行った。


「結構多いんですね……」

「本拠地になるからね、それなりの規模は確保しとかないといけないから」


内部の大きさと牢屋の数は、霧の湖に比べると段違いだった。霧の湖にいた捕虜の大半もここに送られているだろう。

ひとつずつ鍵をはずしていると時間がかかってしまう。悠斗は神経を集中して、一気に鍵をはずしてしまおうとしていた。


「おい!そこの兄ちゃん!!」

「えっ!?」


そんな彼に、牢屋の中から一人の男が声をかけた。


「あんた、霧の湖にいた人だよな!」

「はい。ちょっと待っててください。今そこから出しますんで……」

「それはあとでいい!! 気をつけろ! ここにはあいつらがいる!!」

「あいつら?」

「悠斗さん!! 前!」


男としゃべっていた悠斗に、雛が叫びかける。何事かと悠斗は不思議に思いながら、ゆっくりと前を向いた。

そんな彼の目の前に、ゆらゆらゆれる半透明の何かが迫って
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