五十三 一尾VS九尾
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「なんじゃ、またお前か」
自らの頭の上に乗るナルをガマブン太は鬱陶しそうに見た。視線を前方に戻すと、これまた厄介な存在が眼前にいる。更にうんざりした心持ちでガマブン太は煙管を吸った。
「オレと一緒に闘ってくれってばよ!」
「嫌じゃ」
ナルの張り切った声を一蹴する。「ええ――――ッ!!」と叫んだ彼女の抗議を無視して、ガマブン太は悠々と煙を吐き出した。
「なんでワシがわざわざあんな奴と…」
「この間口寄せした時、オレの事認めてくれたじゃねえかってばよ!」
「ありゃ、頭の前だったからじゃ。お前なんてせいぜい子分じゃい」
「じゃ、じゃあ、頼むってばよ!ガマ親分!!」
「じゃが、断る」
口寄せした蛙と何故か言い争いを始めたナルを、我愛羅は面白そうに見ていた。笑い声を上げる。
「面白い…。ここまで楽しませてくれた礼だ。波風ナル、お前に砂の化身の本当の力を見せてやる…」
完全憑依体となった狸の額。そこから半身だけを出現させた我愛羅はにたりと笑みを浮かべた。印を結ぶ。
一尾――守鶴を宿す者は満足に眠る事が出来ない。なぜならば己の中に潜む存在にじわじわと人格を喰われ、自分が自分ではなくなってしまうからである。故に眠る事すら儘ならない我愛羅は人格を保っていられない。だが霊媒である我愛羅自身が起きている間は、守鶴は自らの人格及び本来の力を抑えつけられている。
しかしながら霊媒が自ら眠りに入った場合、身体の主導権は全て守鶴に委ねられるのだ。
「証明してみせろ!『本当の強さ』というヤツを――――【狸寝入りの術】!!」
ガクリと項垂れる。意識を失った我愛羅がぶらんと腕を落とした。瞬間、彼の体の奥から別人格が現れる。
「ひゃっはあああああ―――!やっと出てこれたぜええええ―――!!」
我愛羅とは真逆の口調で叫び出した砂の化身―――守鶴。彼はすぐさま目前の蛙…ではなく、蛙の上にいる存在に気づいた。懐かしい気配に眼を細める。
「ひゃっはあ!いきなりブチ殺したい奴、発け――――ん!!」
高いテンションのまま、腹に力を込める。攻撃態勢を取った守鶴に、ガマブン太は慌てて回避しようと身を屈めた。途端、腹を叩く音が鳴り響く。
「【風遁・練空弾】!!」
物凄いチャクラを練り込んだ空気砲弾。森の一部を刈り取るほどの威力のある突風がガマブン太と、ガマブン太の上にいるナルを襲う。
ガマブン太が跳躍した事で辛うじて直撃は避けれたが、その凄まじい気弾でナルの髪留めが吹き飛んだ。バサリと長い金の髪が靡く。
「チイッ!おい、無事か!?ガキ!?」
口論の時はぎゃあぎゃあと喧しかったのに、今はやけに静かだ。流石に心配になったガマブン太が頭上へ呼び掛ける。
「………」
突然無口になったナルに、ガマ
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