第九十七話 オレに運ってあんのかな?
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VIPルームに戻った時、ミラニはもう戻っていた。
彼女はヨッチを攫(さら)った『黄金の鴉』を捕縛しに行っていた。
捕縛とはいっても、全員が闘悟に気絶させられていたので回収するだけで済んで簡単だった。
ミラニは闘悟と目が合うと、その隣に近づく。
「目が覚めたら尋問を行う。ただ、あそこにいたのは下っ端だ。情報は持っていないと判断するのが正しいかもな」
闘悟だけに聞こえるように囁く。
「だろうな……グレイクの方はどうだ?」
「それなんだが、医療ルームから姿を消したようだ。恐らくは……」
グレイクはカイバの『毒針』にやられて、カイバの強力な蹴りを受け気絶したので、そのまま医療ルームに運ばれたのだ。
ただカイバとは違う部屋だったので、闘悟もカイバも会ってはいない。
そんな彼が、ミラニが確保しようと向かって行った時には、もうすでにいなかった。
「ガシュー……かねぇ?」
「ああ、だろうな」
グレイクは『黄金の鴉』では、それなりの地位にいた人物だ。
闘悟が追っている黒幕とも少なからず接触している可能性もある。
だからこそ、少しでも情報を得ようと思ったが、ガシューに先を越されていたようだ。
このことから分かるが、やはりグレイクは、情報を持っていたようだ。
でなければ、いちいちガシューが回収しないだろう。
そう思うと、先を越されたことに悔しい気持ちが湧きあがる。
「随分手回しがいいこって」
「どうする? 奴らを捕らえたことで、ガシューを引っ張ることも……」
「いんや、そうなりゃ、奴は白(しら)を切るって」
「だが間違いなく捕らえた奴らは『黄金の鴉』だぞ?」
「下っ端が勝手にやったことだって言うよ。何にも知らされてねえだろうから、証拠が掴めねえ。唯一握ってそうなグレイクはいなくなっちまったし……」
「そうだな……責任を取ると言ってギルドを解散しても、ガシューには痛くも痒(かゆ)くも無いだろうしな」
「ああ、今は泳がせる方がいいかも……な」
「むぅ……」
ミラニは悔しそうに歯を噛み締める。
所詮は使い捨ての駒としか思ってはいないだろう。
トカゲの尻尾を幾(いく)ら切ったところで意味は無い。
本体を捕まえることができない限り、またいつか違うギルドを創設して同じことを繰り返すと考えられる。
「だけど、これであの紙の内容の信憑性(しんぴょうせい)が高まったな」
「それはそうだが……」
「王は何て?」
「私とトーゴに任せると仰っている」
つまりは闘悟達なら真相を掴めると信じている。
それと、今の返答で、やはりミラニはギルバニアに話を通しているのが分かった。
この国の王なのだから、ミラニが言わないな
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