間幕:Ir de tapas (軽食屋巡り)
Canard a l'Orange / 鴨のオレンジソース
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賭けていた。
クリストハルトはフェリクシアが自力で正気に戻るところに賭けようとして、フェリクシアの目を見て、そして賭けに参加することを断念した。
そして結果は全員ハズレ。
「落ち着けボケライオン。 つーか、これでも喰って目を醒ませ」
「ぐぎゃあぁぁぁぁぁぁっ!!」
結果として、キシリアが懐から出した凶悪唐辛子をフェリクシアの口の中に放り込むことで、事態は一端の収束を迎える。
――だが。
「きいぃぃぃぃぃっ! アタシの愛は受け入れられないっていうの!? 嫉ましい、嫉ましいわ! そんなに若い女がいいの? ねぇ、若ければそれでいいの!? こんなに貴女を愛して尽くしているのにっ!!」
片手に井戸水の入ったコップを持ちつつ、フェリクシアは現在も独りよがりに暴走中である。
どこかで聞いた事のあるようなダメな女の台詞を連発する彼女だが、周りの人間は彼女の台詞にいくつ地雷があるかなど、もはや多すぎて数える気にもなりはしない。
「おーい、俺も一緒に暮らすんだが。 むしろ普通はそっちを問題にしないか?」
完全に無視される形になったクリストハルトが声をかけてみるが、返事は無い。
冷静に考えると、あまりにも生態の違いすぎるケットシーを除けば、この家は女所帯である。
そこに男であるクリストハルトが寝泊りするのは見過ごせない問題であるはずなのだが、すでにフェリクシアは完全に自分の世界に入り込んでいた為、その問題性に気づいてもいなかった。
おそらく、その怪しささえ漂う美しさ故に拒絶される経験がなかったのであろう。
その結果、大切なのはいつも自分だけ。
そして自分は愛されるのが当然であると疑いもしない唯我独尊モードの自分主義。
その成れの果てである彼女は、自分勝手な愛を押し付けつつ、常に努力が報われないと不平をわめき散らす鬱陶しい存在になっていた。
実は傍から見ていてこれほど愛されにくい存在も数少ないのだが、気づかないのは本人ばかりなり。
「落ち着けそこの300歳代。 わめき散らす女ほどみっともない生き物はないと思うぞ。 散る花はさっと散るからこそ美しいのだ。 ついでにまだ咲いていると思ってるのか?」
おっと、ここでキシリア選手、会話の大暴投!
これは見事なデットボール!!
「だから無視すんなって。 寂しいから! いい加減にしないとそのデカい乳揉む……カリーナ、とりあえず落ち着け。 話し合おう」
スタンドでは、盗塁しようとしたクリストハルト選手がカリーナ監督によって奥へと引きずられていったようです。
さぁ、会話が混沌としてきました。
ここはフェリクシア選手の反応が気になるところです!
「散る!? いやあぁぁぁぁぁぁっ!! 散るのは嫌よっ!! 別れないからっ! 絶対に別
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