暁 〜小説投稿サイト〜
形而下の神々
10日間の小さな行軍記
行軍3日目
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たのは内緒の話。





 その夜はまだうっすらと月光で照らされていた街道で傭兵と奴隷達は眠りについた。


「なぁグランシェ、狼人の事なんだが……」


 俺はその夜、シュナウドから聞いた話や狼人が明日の夜は来るかも知れない事などを話した。これからどうするのかも話をした。

「俺はここで帰りたくはない。仕事はキチンとした形で終わらせたいんだ」

 俺は心のどこかでグランシェが帰ろうと言うのを期待していたのかも知れない。
 現に、もしグランシェが帰ろうと言っていたら俺には首を横に振っていた自信はない。

 が、俺が思いのたけを伝えた後のグランシェは、決して帰ろうとは言わなかった。

「良いね、その心意気」
 あろうことかヤツはニッコリと笑いながらそう言ったのだ。
 どんだけ修羅場を潜ればそんな顔が出来るんだよ。みたいな顔をしていた。


「だろ?」

 と、俺も負けじと余裕を見せて言うが、ヤバイ。なにげに脂汗出て来た。
 帰らないとしても戦闘は嫌だよなぁ……狼人とか知らんが戦いたくねぇし。

 つか、鉄パイプをダチョウの目玉に突き立てた時の感覚がエラく鮮明に残ってる。正確には自分から刺さって来たんだけどね。

 それにしても襲って来るのって、狼人って言うくらいだし狼なんだよなぁ……。

 巨大な狼とかだったらマジ勘弁だし。まだ食われたくねぇよぉ……お母ちゃ〜ん!!



 なんて事を考えて一人で吹き出したりしている間に隣からは寝息。

 3日目の夜も無事に更け、俺はいつまでもうるさい自身の心臓とは裏腹に穏やかな呼吸で眠りについた。




  行軍3日目
    傭兵残り26名(死者3名・逃亡者1名)
    奴隷残り12名
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