第二十四話「祝☆入団!」
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ようにして眠るお姉ちゃんがいた。ソファーにはもたれ掛かるようにしてリアスちゃんが座っている。どうやらずっとここで帰りを待っていたらしい。
――あ……。
その隣にはラップが掛けられた夕食が置かれていた。今日の夕食は僕の好きなカレーだったようだ。
お姉ちゃんを起こさないようにソッと器を手にした僕は代わりに一通の手紙を置く。
ジーッとお姉ちゃんとリアスちゃんの姿を目に焼き付けて、頭を下げた。
もうここに戻ってくることはないかもしれない。思えば僕がここまで誰かに気を許したのは初めてのことだ。
――なんていうか、お姉ちゃんと一緒にいると心が落ち着くんだよね……。
リアスちゃんに抱き締められると、胸の奥がスッとして眠くなる。お姉ちゃんの膝の上に座ると心がポワ〜ってして温かくなる。一緒にいて安心する。
それは、遠い記憶に引っ掛かる何かがお姉ちゃんにはあって、
でも、それが何なのかが今一つはっきりしない。まるで水面に浮かぶ月を掬っているかのように、すぐ僕の手をすり抜ける。
――お姉ちゃんたちは温かい。
お姉ちゃんがいて、リアスちゃんがいて、イッセーたちがいる。いつも、みんな笑ってる。帰ってくると『お帰りなさい』って声が聞こえる。
朱乃ママさんはよく頭を撫でてくれる。朱乃パパさんはよく肩車をしてくれる。
お母さんって、こんな感じなのかな? お父さんって、こんな感じなのかな? お姉ちゃんって、こんな感じなのかな?
――家族って、こんな感じなのかな……?
いつの間にかぼんやりしていたらしい。落ちそうになったカレーを慌てて持ち直す。
手を振るうと空間が捻じ曲がり、とある場所に繋がった。カレーの入った食器を片手にその中へと入っていく。
「……またね」
捻じれた空間は音も無く元に戻り、暗いリビングにはお姉ちゃんたちの静かな寝息だけが木霊していた。
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