ALO:フェアリィ・ダンス〜両刃の剣と天駆ける龍〜
黒い太陽、白い影
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「私は―――――天宮刹那は、天宮陰斗の妹ではなく、また人間ですらありません。」
グリヴィネは、悲しそうに、寂しそうに、笑った。
「私の本当の名前は、《G-01 グリーヴィネスシャドウ》。マスターによって、マスター自身のために創られた、仮想の人格」
「う、嘘だ……仮想の人格だっていうなら……何で現実世界にも……!?」
セモンが叫ぶと、グリヴィネはもう一度悲しい笑みを浮かべ、答えた。
「その理由をすべて話すには、長い、長い時間がかかります。それでもいいのなら……、ここで、答えましょう。私が、いったい何者であるのか、そのすべてを」
セモン達がうなずくと、グリヴィネは話し始めた。
*
皆さんは、多重人格障害というものを知っていますか?自分の中に、全く別のもう一つの人格が存在する、一種の精神病です。
この障害は、何らかの事件が起こった時に、本来の人格を守るために、もう一つの人格が生まれ、その《事件》に対するトラウマが誘発されるともう一つの人格が表面に顔を出す、という基本構造をもっています。
私は、その一種……いえ、正確には亜種として創造されました。
一人の人間の、一人の人間への、あまりにも強い憎しみが、私を作り出した。
しかし本来の私は、その人間が私を必要としなくなったことで、廃棄された……消されたのです。
多重人格障害は、《事件》のトラウマを克服すると消えることが多いといわれています。私もそうだったのです。
打ち捨てられた記憶。
もう必要とされないはずの私。
そのことに、全く抵抗はありませんでした。やっと終わったか、という感覚だけでした。
しかし、その私を拾うものがいた。
それがマスター……陰斗お兄様です。
お兄様はいかなる経緯か、私を再生させた。私はそれまでのすべてを失い、《グリーヴィネスシャドウ》として新たな構築を受けたのです。
どうやって私の肉体を作り出したのかはよくわかりません。お兄様に聞いてもこたえてくれませんから。
「まぁな。答えることは、僕にもできない。自分でもよくわからないんだ」
……ね?
それで、私はマスターに《天宮刹那》という名前と、《天宮陰斗の妹》という肩書を与えられたのです。
私はあくまでも主を守る存在。だから私は、お兄様の妹であると同時に、マスターのための《鎌》でもあるのです――――――――――――
*
「そんな……事が……」
「でもあり得るの?何もない所か
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