第四十九話
[1/5]
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
「ただいま」
「おかえりなさいませ」
マイホームの隣にあるお得意様となった武器屋、《リズベット武具店》の門戸を開け放つと、もはや毎度お馴染みとなった店員NPCのハンナさんからの言葉が届けられた。
先程の突然のキリトとのデュエルで、日本刀《銀ノ月》やら足刀《半月》やらクナイやら、使用武器が少々……というか結構磨耗したため、リズに手入れを頼みに来たのだった。
まあデュエルをするにしろしないにしろ、ボス戦の前はここに来るつもりだったのだが。
ちなみにキリトとアスナ夫妻はと言うと、キリトの《二刀流》で使用した武器も磨耗したため、キリトは一緒に《リズベット武具店》へと付いてくるつもりだった。
……だったのだが、アスナがキリトに「空気を読んで」といった旨の警告を発した後、無理やり他の鍛冶屋へとキリトを引っ張っていったため、今はどこにいるかは解らない。
……アスナには少々、余計なお世話だ、とツッコんでやりたかったものの、時間も無いので俺一人で《リズベット武具店》へと来たのだった。
「ショウキ、おかえりー」
ハンナさんの対応が「いらっしゃいませ」ではなく、「おかえりなさいませ」だったことから俺だと解ったのだろう、リズがアスナコーディネートのいつもの格好で、店の奥から顔を出した。
「ああ。早速で悪いんだけど、ちょっと武器の手入れ頼めるか?」
「ん〜……大丈夫、お安いご用よ」
日本刀《銀ノ月》と足刀《半月》をリズに渡し、俺だけ座っているだけというのも何なので一緒に仕事場に行き、リズが研ぎ機を起動させてから俺は椅子に座った。
アイテムストレージの大量のクナイ……こいつらも大事な副兵装だ、ボス戦の前にこれらも点検せねばなるまい。
「ちょっとショウキ、何やってるのよ?」
「何って……クナイの手入れだが」
俺の答えに眉をしかめたリズがクナイに伸ばした手を、俺は半ば予想していたため、容易くクナイに到達する前に受け止めた。
「本職に任せなさいってっ……!」
「だからそっちを頼むって言っただろっ……!」
クナイを自分で手入れしようとするリズの手と、それを受け止める俺の手の力が拮抗し、そんな時間はないだろうに何故か押し問答になってしまう。
「別に良いだろ、俺だって鍛冶スキル上げてんだからよ」
「あたしの鍛冶屋としてのプライドが許さないの!」
普通に会話しているようでも水面下では激動の押し合いが繰り広げられ、同時に女子であるリズと拮抗していることが、男子としての俺が精神的ダメージを与えられている。
俺は茅場のせいで筋力値を思うように上げられず、対するリズは鍛冶仕事の副産物として、筋力値とレベルがどんどん上がって行くのだから、これは仕方のない結果とも言えるが。
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ