第四十九話
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いるにもかかわらず、キリトたちは95というところまで到達しているのだから、それはついていける筈がない。
自前の剣術や《縮地》に《恐怖の予測線》があれば、先のキリトとのデュエルのように勝ちを拾えるものの、元々ネットゲーム初心者の俺には、ダンジョンの攻略は辛いものとなっていた。
「……どうして気づいたのか、参考までに」
「あんたとさっき押し合った時に確証を持ったわ。《鑑定》スキル持ちの鍛冶屋をナメないでよね」
リズのスキルとよく見てくれている観察力と……それと、優しさに脱帽する。
きっと彼女が武器のメンテをしてくれる時に、こんな俺でも戦えるようにきちんとメンテしてくれたのだから。
ここまで解っているのだから、リズの言いたいことは一つなのだろう。
――ボス戦に行かないでくれと。
それが彼女の心、の底からの優しさや善意から来ているということぐらいは解っているつもりだ。
「――それでも俺は行かなくちゃいけない。……約束だから」
短い間だったけれど共に戦った友人、コーバッツや偵察隊のみんなからの思いが託され、キリトやアスナを始めとする古い友人たちも参戦するのだ、ここで俺だけが逃げる訳にはいかない。
「……怖く、ないの?」
リズにそう聞かれると、いつぞや――確か《圏内事件》の時だったか――キリトからも同じ質問が来たのを思い出した。
そんな異常な状況で戦って、死ぬのが怖くないのかと。
その時は確か、『死ぬのが怖くない人間がいるのかよ?』などと、少し冗談めかして答えたのだったか。
「怖いさ。怖くて今すぐ逃げ出したい……って、リズに会う前の俺は言ってただろう」
「あたしに……会う前?」
隠しボス相手に自分が戦力外でやられてしまっていた時に、それでも俺のことを心配しているようなリズに、俺は『強さ』を見た気がした。
だったらこんな俺だって、逃げずに誰かの為に戦えるんじゃ無いかって、PoHとの戦いやギルド《COLORS》のことを乗り越えて思ったんだ。
しかしてここで逃げてしまえば、俺はリズに会う前のまやかしの強さを全面に押しだした俺に戻ってしまうだろうから。
そんなのは嫌だった。
たとえカッコ悪かろうが無様だろうが、それでも前に進んで、リズのように強くなりたいから。
「いや……何でもない。つまり何が言いたいかって言えば、俺は止まらない。止まらないでボス戦に行く」
しかしてそんなことを面と向かって本人の前で言える筈もなく、結局はぼかして中途半端にカッコ悪くなってしまったのは、俺らしいと言えばらしいだろうか。
「――――。ふ、ふん。逃げるなんて言ってたらはっ倒してたわよ」
リズは一瞬俺の顔を凝視した後に、顔を赤らめてそっぽを向き、
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