第四十九話
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ね」
流石はマスタースミスと言ったところか、ただの手入れであろうと仕事が早い。
そして、一応どんなものかと確認していた俺に、リズから声がかけられた……俺が、言わないで欲しいと願っていたことを。
「ねぇ、ショウキ。……あんた、この後ボス戦に行くの?」
予想外の聞かれたくなかった質問に、ついつい飲んでいたお茶を吹き出しそうになってしまったものの、何とか平常心を整えた。
「……誰から聞いたんだ?」
ボス戦に行くことは現時点で公表されていることではなく、攻略に成功してから新聞社の方へとネタを流すのが基本となっていたため、何故リズが知っているのかは疑問が残った。
確かに鍛冶屋を営んでいるリズならば、顔は広いし情報を手に入れる機会は多いだろうが……どこぞの鼠ほどじゃ無いはずだ。
「アスナから。メールが来たわ」
さっきアスナにありがとうなどと言った気がするが、一瞬で気分が180°変わった気がした。
別に絶対に秘密にしなければならない、という訳では無いにしろ……
「大丈夫だよ。これまでも何回もボス戦なら攻略済みだし、今更言うことでもないと思ったんだ」
「あたしがクォーターポイントのことを知らないと思ってるの!?」
クナイの手入れを中断したのか終了したのかは知らないけれど、リズは研ぎ機から手を離して俺に向かって怒りを見せた。
クォーターポイント……《軍》が壊滅的被害を受けたというのが第二十五層であり、ヒースクリフが持ちこたえていなければ全滅していたのが第五十層であることから、次なる第七十五層も相応の強敵が予想される、ということだ。
「……知ってたか」
『――だからこそ、内緒にしたかった』という続く言葉を何とか口の中に引き止めると、俺も椅子から立ち上がってリズの方へと向き直った。
「それにあんた……そろそろ、戦えなくなって来てるんじゃないの?」
「……ッ!?」
リズに……いや、誰にも言っていなかった真実を何故か言い当てられると、流石に平常心を保ってはいられなくなってしまい、額から冷や汗がこぼれ落ちた。
「……それも、知ってたのかよ」
リズの言う通り、俺は攻略組のプレイヤーと、最前線のダンジョンについていけなくなっていた。
パーティーを組んだ場合ならばどうとでもなる程度の、そんな些細な違和感ではあるのも確かだが。
何故かと問われれば、俺にはレベルアップが出来ず――正確には、その層のフロアボスと戦えるレベルに固定されているようだ――周囲がレベルアップをし続けていることに尽きる。
今まではそれでも充分に戦えていたのだが、層が上がってダンジョンの質が上がっていくごとに、プレイヤーたちはレベルを上げていく。
つまり、俺はレベルが80程度に固定されて
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