第九十六話 絶対捕まえてやる!
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闘悟は背を向けて去ろうとした時、何かを思い出したように声を発する。
「あ、そういや、これぐらいはさせてくれ」
カイバは闘悟の言葉の意味が分からず首を捻っていたが、瞬間闘悟から魔力が自分に流れてきた。
「えっ!?」
いきなりのことでカイバ達は驚く。
だが、次に感じた事実にもっと驚愕する。
今まで感じていた体の痛みが嘘のように消えたのだ。
「え……? い、痛みが消えた……?」
カイバは自分の体を確認するように見回す。
「どうしたのお兄ちゃん?」
ヨッチが不思議そうに尋ねてくる。
「治癒魔法であらかた治ってるみてえだけど、全快ってわけじゃねえだろ?」
「え? あ、ああ……」
「だから治しといた」
「…………あ、改変魔法!?」
カイバは闘悟の言った意味をようやく理解した。
「ご名答」
闘悟は改変魔法でカイバの傷ついた体を改変して元に戻したのだ。
「これで万全な体調で本選に出れるだろ? あ、そういや言うの忘れてたけど、本戦出場おめでとさん」
すると、カイバは言い難そうに顔を歪める。
「そ、そのことなんだけどな、実は本戦は断ったんだよ」
「な、何でだ?」
「ほらよ、俺ってハッキリ言って運でここまで来れたろ? 確かに本戦に出れるのは嬉しいけど、いろんな人にも迷惑かけたし、何よりさ、本戦ではみんなすっげえバトルを楽しみにしてるだろ?」
「……そうだろな」
「俺じゃ、その期待に応えられるようなバトルできそうにねえしな」
カイバの言わんとしてることは分かる。
ここまで勝ち残ってる者は、腕に覚えがある者ばかり。
本戦に出場できるのは、その中から十人だ。
この大会を見に来た者は、より高度なバトルを楽しみにしている。
本戦の十人は、その期待にそぐわない闘いを見せてくれると信じている。
だが、カイバは一応本戦にまで残ったが、それはパートナーであるヤーヴァスのお蔭である部分が大きい。
グレイクに勝てたのも、奇跡とも呼ぶべき僥倖(ぎょうこう)だ。
そんな見劣りする実力で、本戦を闘えるわけがない。
「それにいくら相手を選んだからと言って『毒針』まで使っちまったしな」
カイバが言うには、いくら仕返しだからと言って、『毒針』を使ってしまったことを後悔していた。
カイバの中の正義では、そんな暗器めいたものを使って勝ち残ったということを認めるわけにはいかないようだ。
だから自分の中のケジメとして、これ以上は大会に参加しないと決心したのだ。
「どうせなら本戦は、もう少し鍛えてからやりたいと思ってな。まあ、大会は毎年あるしな!」
「今
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