第九十六話 絶対捕まえてやる!
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を浮かばせている。
「そっか……」
「オレの考えじゃ、この大会で必ず黒幕は動く」
「そうなのか?」
「ああ、実はな、この一か月、黒幕を引っ張り出すために、ある噂を流したんだ」
「噂?」
カイバは首を傾げながら闘悟に注目する。
「この大会の優勝者には、ある物が授けらる。そんな噂だ」
「……どういうことだ?」
「その紙に書かれてる内容は読んだろ?」
カイバは眉間にしわを寄せて、もう一度紙に目を通してハッとする。
「ま、まさかお前?」
「ああ、もちろん表立って授けられるわけじゃなくって、優勝者には国王直々に手渡されるという噂も流した。その方が信憑性(しんぴょうせい)も出るしな」
つまり隠された優勝賞品ということだ。
それを目にするには、優勝しなければならない。
そんな噂を闘悟は、ギルドの依頼をこなして、その途中に出会った人々に流した。
「カイバの言う通り、その紙に書かれてる内容がホントなら、黒幕は絶対食いつく」
そこでカイバはガシューと出会った時のことを思い出していた。
彼は「欲しいものがある」と言っていた。
それはこのことだったのだとようやく理解できた。
だが、彼が望むのは闘悟の流したデマだ。
それを思うと少しざまあみろといった気分が湧いてきた。
「…………ところである物って何だ?」
「『禁覚(きんかく)の書』の一部」
「き、きんかく? 何だそれ?」
カイバは聞き覚えの無い言葉に首を傾げる。
「何でも、禁じられた文書の一つらしいな」
「お前も知らないのか?」
「詳しいことはな。ただ、有名な『禁書(きんしょ)』の一つらしいから、その噂を流しゃ、食いつくと思ってな」
「なるほどな……」
ヨッチとリールは、二人のやり取りを聞いてはいるが、話半分で理解してはいない。
「とにかく、『黄金の鴉』が動いた以上、黒幕は必ず優勝賞品を手に入れるために尻尾を出すはずだ」
闘悟はカイバから紙を受け取る。
そして、その紙にチラリと視線を落とす。
その見出しにはこう書かれてある。
【希少種(きしょうしゅ)・特能魔具(とくのうまぐ)の回収及び、奴隷商・武器商人の確保 手段問わず】
絶対食いついてくる。
珍しいものを狙ってんなら絶対にな。
闘悟は確信めいたものを感じていた。
「さて、オレは戻るわ」
闘悟の言葉を受けてカイバ達は頷く。
「ん〜? もういくのかぁ? よっしゃあぁ〜」
ハロは今までよく分からない話を聞いてて暇だった。
どこか別の所に行きたいと思っていたので、闘悟が動くと聞いて喜んでいる。
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