第九十五話 ホントに無事で良かったよ!
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一応ギルバニアの耳にも入れておかなければならないと言うと、話を聞いたニアが、自分が伝えておくと言って向かって行った。
「ですが、このようなことをする人がいるなんて……」
クィルが悲しそうに眉を寄せる。
「今回は金が絡んでるからな。それに、今大会の勝利者は、いつもの名誉以上の名誉がもらえる」
「どういうことなのです?」
「今までは百人程度の小規模の大会だったろ?」
「はいです」
「だけど、今回は各国の猛者達が終結した、いわば大陸一を決める大会といっても過言じゃねえ」
「なるほどです」
クィルは何度も頷きながら聞いている。
もちろん、その場にいるステリアやヒナ、リアやハロ達も聞いている。
「今までは、勝てば王国一、だけど今度は大陸一、同じ大会でも重みが違う。だからその名誉を手に入れようと思ったら、何をしてでもって考える奴らが出てくる」
「そ、そんな……」
「特にそういうことを考える汚い大人はたくさんいる……」
「ト、トーゴ様?」
いきなり闘悟の言葉を冷たく感じたのでその場にいた者は誰もが闘悟を見つめる。
「権力、名誉、金。それを手に入れようとする大人は、本当に何でもする。それこそ、人を殺してでも……」
闘悟は暗い響きで声を流す。
すると、キュッと服を掴まれる感覚を感じる。
「トーゴ様……」
不安そうにクィルが声を上げる。
いつの間にか傍にはヒナとハロも来て、服を掴んでいる。
どうやら少し我を忘れて感情のまま話してしまったみたいだ。
まだまだ自制心が足りないなと内心で反省をする。
「……ふぅ、まあこの大会は大丈夫だ」
「そうなのですか?」
「ああ、オレがそんなことさせねえ。そんな腐った考えしてる奴らを根絶やしにしてやるよ」
闘悟は皆に笑みを向ける。
それを見た皆は安堵(あんど)に胸を撫で下ろす。
「で、ですが、あまり危険なことはなさらないで下さい」
闘悟は少し驚いた感じで目を開いたが、すぐに優しそうに微笑み彼女の頭を撫でる。
「ありがとなクィル」
「……あぅ……ふぁ……」
恥ずかしそうに顔を伏せながら言葉を小さく漏らす。
でもその表情はとても嬉しそうだ。それを何故か羨ましそうに眺めているヒナとハロを目にして、同じように頭を撫でる。
「ん……」
「にししし」
彼女達は嬉しそうに目を細めている。
どうやら彼女達は、頭を撫でられるのが好きなのだと認識した。
ふとステリアと目が合ったので「お前も?」と聞くと、「馬鹿じゃないの」と一蹴(いっしゅう)された。
少し顔が赤かったが、そんなことを言われて照れたのかもし
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