第九十四話 やればできるじゃんお兄ちゃんよ
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グレイクは仕方無く両腕で防御する。
だが、感じたのはチクリとする刺激だけだった。
「ん? なっがぅっ!」
いきなり体に電気が走ったかのような痛みが走る。
「こ……こりぇ……ふぁ……っ!?」
全く呂律(ろれつ)が回らない。
「へへ……どうだ? てめえらの作った『毒針』の味は……よ?」
カイバは嫌味を含めて笑う。
やっと事態を把握できたグレイクはこれ以上ないくらい目を見開く。
「これでホントに終わりだぁっ!」
カイバは魔力を右足に宿す。
「みゃ……みゃ……て……」
体を震わせながら、言うことを聞かない口を必死に動かす。
獣人の脚力の強さを見せてやると言わんばかりに力を振り絞る。
「うおらぁっ!」
「ぶへぇっ!!!」
顔面を蹴り飛ばし、大いに吹き飛んでいくグレイク。
白目を剥(む)き、顔の形が変わっているが死んではいないようだ。
だがもう、ピクリとも動きはしなかった。
「へん……見たか……Dランクを舐めんな……よ……」
だがカイバ自身も本当に限界を迎えたのか、そのまま地面に倒れる。
「お兄ちゃんっ!」
「カイバッ!」
ヨッチとリールが同時に叫ぶ。
「行って下さい。カイバが待ってます」
闘悟の言葉を聞いて、二人は頭を下げてカイバのもとへ向かって行った。
「いきなりすみませんでしたフレンシア様」
闘悟は実況席にいるフレンシアに声を掛ける。
「いいえ、トーゴくんのすることだもの。何かわけがあったのでしょ? ……聞かない方がいい?」
「そうですね、全てが終わったら話します」
「……分かったわ。それならこれは貸しということで……いいかしら?」
怪しく微笑む彼女に嫌な予感を感じる。
「う……お手柔らかに頼みます」
そう言って闘悟は実況席を出て行った。
「あ、あの……私を置き去りにして話さないでほしいのですが……」
傍にいるモアが一人で愚痴(ぐち)っている。
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