第九十四話 やればできるじゃんお兄ちゃんよ
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を避けるが、離れ離れになる。
グレイクの狙いは、二人を引き離すことだったので、企みが成功したと言える。
グレイクは単体となったカイバの方へ俊敏に向かって行く。
だが、いきなり地面が盛り上がりカイバの前に壁が作られる。
ヤーヴァスが『魔剣ドール』でカイバを守った。
グレイクは舌打ちをして、壁の後ろへ回る。
だがそこには、誰もいなかった。
「ど、どこに行った!?」
いきなり消えたターゲットを探してキョロキョロする。
「ここだ!」
その言葉を聞き、グレイクは上を見上げる。
カイバは壁の上にいた。
そのまま飛び降り、剣を振り下ろす。
だが、咄嗟(とっさ)にグレイクは剣で防御する。
怒りで冷静さを欠いているとはいえ、咄嗟に行動ができるのはさすがギルドランク上位者だ。
だが、かなりの勢いで衝突した剣同士は、音を立てて両方とも折れてしまう。
グレイクは歯を食いしばりカイバの左腕に、力一杯剣の柄で殴りつける。
「ぐうぅっ!!!」
嫌な音がして、地面に転がる。
カイバは殴られた左腕を右手で押さえて、苦痛に顔を歪める。
「クハハ! これが実力の差だ小僧!」
トドメを刺そうと近づこうとすると、また地面がカイバを守る。
「くそ! 忌々しい土野郎め!」
ヤーヴァスを睨みつけて毒を吐く。
カイバは意識が遠くなりそうになりながらも、ハッキリと聞こえてくるものを感じる。
「頑張ってぇっ! お兄ちゃんっ!」
可愛い妹の必死に応援する声だ。
「踏ん張りなさいカイバ!」
母親の声も聞こえる。
カイバは全身に力を込めて目の前の壁を昇る。
そして、またも上からグレイクに掴みかかる。
「は、離せ小僧!」
グレイクはカイバの頬を殴る。
殴られた拍子で、折れたであろう左腕に激痛が走る。
あまりの痛みで意識が飛びそうになる。
そして、とうとう限界を迎えたようにガクガクになるカイバを見てグレイクは笑う。
「クク、これで終わりだ!」
自分に倒れてくるカイバをもう一度殴ろうとする。
しかし、目の前のカイバが急に消えた。
いや、凄い速さで懐(ふところ)へと潜り込まれた。
よく見れば、地面から現れた腕がカイバを引っ張っていた。
「少年っ!」
ヤーヴァスの声に朦朧(もうろう)としていた意識がハッキリとする。
(これが……最後のチャンス!)
カイバはその勢いを利用して突っ込む。
ヤーヴァスのサポートを無駄にはできないと、力を込める。
「体当たりでもしてくるつもりか!?」
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