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銀河英雄伝説〜美しい夢〜
第三十四話 カストロプ公
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そんな表情をしている。

「今月の中旬には始めると言っておられました。おそらく我々がイゼルローン要塞に到着するのを待っているのでしょう。政治改革が始まれば場合によっては帝国内部で混乱が生じる可能性が無いとは言えません」
「なるほど、政治改革に反対する貴族が騒乱を起こす可能性が有るか」
グライフス方面軍司令官が呟くと彼方此方で頷く姿が見えた。

「そして反乱軍がその混乱に乗じようとする可能性が有ります。フェザーンがそれを唆すという可能性も有るでしょう、油断はできません」
俺が指摘すると今度は呻き声が聞こえた。皆、フェザーンが帝国の弱体化を望んでいる事を知っている。

「何故今改革を……」
「シュターデン参謀長!」
悔しげに呟くシュターデンをグライフス方面軍司令官が咎めた。
「しかし、せっかく有利に戦争を進めていると言うのに……」
シュターデンがなおも言い募った。

「シュターデン中将、今だから改革を行うのだと私は思う」
「……」
シュターデンが俺を睨んでいる。
「改革を行えば貴族が不満を持つだろう。それを押さえるには強い力が必要だ。今なら帝国はブラウンシュバイク公、リッテンハイム侯、リヒテンラーデ侯、そして軍が協力体制を取っている。不満を押さえる事が出来る」

俺の言葉にシュターデンが悔しそうに唇を噛んだ。それを見てグライフス方面軍司令官が俺に話しかけた。
「今だから出来るか……、確かにそうだな。反乱軍が押し寄せてくれば卿が四個艦隊を率いてそれを防ぐか……」
「方面軍司令部と協力して行うことになります」
グライフス方面軍司令官が頷いた。

「リューネブルク中将の件といい、卿の件といいブラウンシュバイク公の手配りの良さには感嘆するな」
「まことに」
俺が答えるとグライフス方面軍司令官が笑みを浮かべた。

「ではミューゼル提督、我らも為すべき事を為そう。先ずは今回の戦いで見えた方面軍司令部の問題点だな。そして反乱軍が押し寄せた時の我らの連携……、早速だが会議室に行こうか、あまり時間は無さそうだ」
「はっ」



帝国暦487年  8月 25日  オーディン  新無憂宮    フレーゲル内務尚書



黒真珠の間に貴族、軍人、官僚が集められた。彼らの殆どは今日何が行なわれるか知らない、政府から重大な発表が有ると言われて集まっているだけだ。皆不安そうに顔を見合わせながら何が有るのかと小声で話し合っている。そして内務尚書の私も司法尚書のルンプも発表の内容を知らない。

だが何の問題も無い様に黒真珠の間に居る。何も知らぬ事を周囲に知られるのは面白くない。頼りにならぬと皆に侮られるだけだ。問いかけてくる人間も居るが私もルンプも軽々しく教える事は出来ぬと言って追い払っている……。

皇帝の玉座
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