ファントム・バレット編
Crimson Ammo.
顛末・Period2 ―動き出す歯車
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言葉を無くす俺に死銃は凄みのある笑みを浮かべると、刺突剣をサッ、と切り払うと、俺にピタリと据えた。
「つまり、あの女に、勝機は、無い。そして、お前は、何も、出来ない!!」
バネ仕掛けの人形のような動きで死銃が飛びかかって来るのと―――、
背後で轟音が轟くのはほぼ一緒だった。
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Side明日奈
携帯端末をタクシーの支払いパットに押し当て、精算サウンドが鳴ったときにはもう、結城明日奈はタクシーを飛び降りていた。
時刻は夜10時。正面の自動ドアは電源が落ちているだろうと、脇に設けられた、夜間面会口に向かおうとしたとき、自動ドアが唐突に開いた。
「結城明日奈様ですか?」
「え、は、はい」
「お待ちしておりました。此方へ」
中から出てきたのは凛とした雰囲気の女性。服装はナース服や白衣等ではなく、ダークスーツ。それも、父親のSP等が着ているような、動き易さを重視したものだった。
明日奈は女性に従って廊下を足早に進み、エレベーターに乗り込むと、疑問を口にした。
「あの、貴女は……?」
「藍原智代と申します。水城螢君の知り合いで――貴女にはもう、隠す必要はありませんね――第三師団副隊長です」
「……えと、言っていいんですか、それ」
「ええ、構いません。貴女と桐ヶ谷和人様には色々知られてしまっていますし、特に貴女にはあの笠原が話してしまっていますし。無論、守秘義務は負ってもらいます」
「……わかりました」
エレベーターが7階で停止し、ドアが開くと同時に藍原が歩き出した。明日奈は小走りしているが、長身の藍原とは一歩の幅が異なるため、距離は変わらない。
『7025』と書かれた部屋のプレートに藍原がパスを押し当て、滑るように入る。
慌ててそれに続いた明日奈は愛する少年の名を呼ぼうと息を吸い込むが、それより一瞬早く、
「ナツキ、状況は?」
「……あのさ、智代。親友に対する5年ぶりの再会がソレってどうなのよ……」
部屋の奥、2人の少年達のさらに奥で立っているナース服の妙齢の美女がダークスーツの女性にあきれたように返す。
「些末なこと。それで?」
それをバッサリ切り捨てた藍原は奥に進みながら再度問う。
「あのバカがなぁに考えているか知らないけどさ。智代の大切な御方は…「違う」…はいはい。……あ、すいません。結城さんね?お話うかがってます、こちらにどうぞ」
放置ぎみだった明日奈に声を掛けた。2人は眠ったようにベットに横たわり、静かに息をして―――、
「…………っ!?」
計器のアラームが部屋に鳴り響き、螢の心拍が
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