第一物語・後半-日来独立編-
第三十三章 辰の地、戦火は走る《4》
[3/5]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
陣のなかを移動する。
「馬鹿野郎、こっち来んな! 巨大な奴が来るだろうが!」
「これからって時になんでこうなるんだよ!」
「幾ら怪我がすぐに治るからって痛いのは勘弁だぞ!」
「てか、あいつ鼻歌しながら襲ってくるぞ。 日来ってのはこんな化け物がいるところなのかよ!」
これは味方から見ても、素直にその光景は喜べるものではなかった。
逃げる敵を鼻歌を奏でる巨体が、背後からバットを振りながら追って来るのだ。布は巻かれていないが、暗くて見えない目の部分から光るマッチの眼光が恐怖を更に強くさせる。
「計画通り……! ですわ」
「デスノートブックの台詞ですよね、それ。表情も似せて悪役感たっぷりですよ」
「幾ら実力があると言っても、マッチを相手にしてはそうはいきませんわ。何故なら戦闘を行う前に倒してしまいますもの。ふお――ほっほっほっ!」
「ほんと悪役感たっぷりネ。これはさすがに引くナ」
「思い通りに行くと上機嫌になる点は母親そっくりだな」
高らかに笑うネフィアを見て、ルヴォルフは彼女の母のことを思った。
それはそうと、マッチ一人ではこの状況は変わら無い。むしろ前方の味方がいなくなったことにより、後方で長銃を構えている黄森が精密な射撃を放ってくる。
殆どの者は防御系加護により負傷は免れているが、その分流魔を食うため残量が心配だ。
「マッチ! バットを振り回しながら敵陣を二つに割るように一直線に行け。半分はマッチの後に続き、後方の黄森を潰しに行くぞ」
これを聞き、マッチは後方にいる黄森目掛けて攻めて行く。
彼は天布により、二人共加護に守られている。何故、天布が付いて来たのかと初め見た時は思ったがこのためだったのかと理解する。
敵を蹴散らすマッチの後ろをルヴォルフが行き、後から仲間が付いて来る。
速度を上げ突き進むが、行き過ぎで一つの陣形を越えてしまった。
しかし、後方には付いたので叩き潰しに行く。
「距離にしてみれば結界までまだ距離はあるが、ここら辺の敵もあらかた集まって来ているようだからな。ここを切り抜ければ距離を一気に詰められるだろう」
余所見をしている彼の顔すれすれに実弾が飛んで来たが、地面に一蹴り入れ軽く避ける。
そして一人の敵を目標に定め、今度は強く地面を蹴り飛ばし持っていた長銃に手を伸ばす。
敵が逃げようとする頃には手は長銃を掴み、力任せに振り抜いて奪った。
目の前で折り曲げ、こちらの力を見せ付ける。
「ふっ、柔らかいな」
一部が鉄なだけで、後はプラスチックや軽量化を狙った合金などで出来ている。
獣人族に対しては曲げ易いだけの、ただの長銃に過ぎない。
戦闘は今や乱戦とも言えるような状態で、敵味方が目まぐるしく入り乱れている。
こんな状況では長銃は役に立たないと、黄森の者
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ