第一物語・後半-日来独立編-
第三十三章 辰の地、戦火は走る《4》
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にいた辰ノ大花の者達が向こう側から顔をひょこっと出した。
私も壁に穴が空いてたら同じことしますよ。気になりますよね、穴の向こう側。
何故だろう。粘る汗が額から出てくる。
笑うも、その笑い声は徐々に小さくなっていく。
声が止んだ時、周囲が静まり返っていたことに気付く。
妙な空気がこの場を支配し、動く者は誰もいなかった。
しばし間が空いた頃、
「おい、防御盾にひびが入って行くぞ」
鎧甲に覆われた腕を挙げ、皆はトオキダニの手が指す先を見る。
ロロアが展開していた大型の防御盾が、先程空いた穴を中心にひびが入って行き、それが全体に走っている。
現実から目を反らそうとしたまさにその時、自分達と敵の間を遮っていた壁が砕け散った。
盾は塵となり風に吹かれ、何処へと消えていった。
今度は妙な沈黙がこの場を支配した。
敵はこの事態に身体が動かなかった。今まで一度も遭遇しなかった場面であったため、その対処の動きが即座に取れなかったためだ。
だが、そこは幾多の戦いを積んできた者達。
「と、突撃――!」
誰かが言い、その声に目が覚めたように動き出した。
「「お、おおお――――!!」」
正面から敵が群れで襲いに来るのを見て、休んでいた日来勢は焦りながら戦闘を開始した。
戦闘組は別の方の敵と交戦中のため援護は頼めない。後方にいる援護組には距離を取って負傷者の手当てに専念さてもらっているため、後方支援は期待出来無い。
そもそも援護組は幼い高等部一年生主体で組まれているため、援護が出来たとしても迷惑になることが考えられる。
「ち、違うんだよ! 別に皆に恨みがあるわけではなくて、蹴った方向に防御盾があっただけで!」
「言い訳は後で聞きますわ! ならばここは奥の手……マッチで一掃しますわ!」
叫ぶテイルを後にして、覇王会隊長として一つのことを判断する。
言葉に応じるように、数メートル後方から大ジャンプで地面に土煙を上げ着地する者がいた。
布で顔全体を覆い、制服のズボンだけを身に付けたマッチが左肩に天布を背負い、日来勢と敵との間に現れた。
二メートルを越える巨体が目の前に現れ、後退りする敵に対しマッチは右手に握っていた特注の戦闘用バットを上げ、左に大きくスイングした。
バットだけでもマッチと同じ大きさなのだから、その攻撃範囲は広く、巨体に似合わぬ素早いスイングで回避が間に合わずに多数の敵がヒットした。
「ホームラ――ン!」
肩に載っている天布の言葉通り、バットにヒットした敵がかなりの距離吹き飛んでいった。
更に吹き飛んだ敵が落ちる場所にも敵がいるので、落ちる味方にヒットする者もいた。
敵はマッチから距離を離し、逃げるように他の箇所から攻めようとするがマッチがバットを適当で乱暴に振り回し敵
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