黄巾の章
第13話 「今のお姉ちゃんは、桃園で誓ったお姉ちゃんじゃない気がするのだ」
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表しているような気がするのだ」
「私の……こと」
「『頭を使って考えろ。それが良い将の条件だ』。これもお兄ちゃんの言葉なのだ。だから鈴々は、今のお姉ちゃんのことを考えたのだ。今のお姉ちゃんはおかしいのだ」
「鈴々!」
にゃー……愛紗が顔を真っ赤にして怒り始めたのだ。
お姉ちゃんは、呆然としながらブツブツと呟き始めたのだ。
……本当に、これでよかったのかは、わかんないのだ。
でも……でも、お姉ちゃんは、劉備玄徳なのだ。
「愛紗にも鈴々は言いたいのだ」
「な、なに!?」
「お姉ちゃんを甘やかしちゃだめなのだ。最近、愛紗はお姉ちゃんへの小言が減っているのだ。だからお姉ちゃんが、考えるのをやめてしまったんじゃないかと思うのだ」
「わ、私のせいだというのか!?」
「せい、とういうわけでもないのだ。でも、愛紗もどこかお兄ちゃんにまかせっきりな気がするのだ。”お兄ちゃんはお姉ちゃんの臣じゃないのだ”。なのに、いつも『第一の臣である』と言っている愛紗がお姉ちゃんを正さないでいいのか、と思うのだ」
「なっ…………くっ!」
「鈴々は、今まで楽しければよかったのだ。でも、それだけじゃダメな気がするのだ。だから鈴々は考えることにしたのだ」
愛紗は、お姉ちゃんを見て、鈴々を見て、天を仰いだのだ。
にゃー……言い過ぎたかもしれないのだ。
「ごめんなのだ、二人とも。でも、たぶん、間違ったことは言ってないと思うのだ。もし、間違っているなら鈴々にも言って欲しいのだ。だって、鈴々たちは義姉妹なのだ」
「鈴々……」
「…………」
愛紗は、鈴々を申し訳なさそうな、悔しそうな眼で見ているのだ。
でも、桃香お姉ちゃんは……ずっと呆然としたままブツブツと呟いているのだ。
「……お姉ちゃん?」
「? と、桃香様?」
「…………」
お姉ちゃんは、鈴々と愛紗に何も言わず、どこかに歩いていったのだ。
その背中は……まるで母鳥から離された小鳥のように、小さく見えたのだ。
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