黄巾の章
第13話 「今のお姉ちゃんは、桃園で誓ったお姉ちゃんじゃない気がするのだ」
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もし先輩たちが知ったら、俺は本気で殺されるかもしれん。
(すでにこの状態が、禁忌に触れているともいえるが……もし現世に戻った際に罰を受けるなら、俺独りで済むしな)
一刀はいまだ眠り続けている。
あいつはそんなことを知るべくもないことだ。
俺にとっては、あいつさえ……
「……様、ご主人様!」
「ん?」
俺が思考の海に沈んでいると、桃香の顔が真横にあった。
「どうしたの? ボーっとして」
「ん……あ、いや」
顔を上げてみると、霞も翠も不審気な顔でこちらを見ている。
いかん……会議中だったな。
「すまん。その十常侍ってやつのことをいろいろ考えていた」
「まあ、そういうかなり困った奴らなのは確かや。けど、帝の詔を受けている以上は従わざるをえん。月の立場的にも今回はしゃーないやろな」
「くそっ……悔しいが、あたしの軍は壊滅しちまっているし、どうしようもない」
翠が悔しげに拳を握って俯く。
そういえば……
「翠。確か馬岱、だったか? 君の一族の武将がいたんじゃないのか?」
「あ、ああ……蒲公英か。あいつは西涼に返すことにした。軍は壊滅したし、あたしは霞にも盾二にも恩がある。それに……まだあたし自身が奴らに借りを返してねえ。それを霞に話したら、霞から董卓さんに伝えてもらってな。客将として部隊を率いることになったんだ」
「ま、そういうこっちゃ。ウチとしても翠の力は、メッチャ助かるし」
そうか……まあ、翠の悔しさもわかるし、先の戦じゃ全然活躍の機会もなかったしな……
「そっか。なら噂の錦馬超の力、頼りにさせてもらおう」
「応っ! あたしにまかせておけ!」
「ふっふっふっ……」
ん?
なんでニヤニヤしてるんだ、霞。
「よかったなー翠。いとしの誰かと離れんで……いいところも見せたいやろうし」
「な、ななななななっ!」
???
「べ、べべべべべべ……んぐっ、別に、まったく、そんな意味じゃなくて、あ、あたしが、借りを返したいのは黄巾じゃなくて盾……じゃなくて! その、だからあたしは、一人の武将として力を見せて、格好いい所を……じゃなくて!」
「はいはい。翠ちゃん、落ち着こうね?」
いきなり真っ赤になった翠に、桃香がなでなでと頭を撫でる。
なんだ、いったい?
「……まあいいや。ともかく納得はできんが、周辺の諸侯が集まる以上、確かに治安維持で動く部隊も必要だということだな。俺たちは義勇軍だし、本来はこういう仕事を任されるのは当然かもしれん」
「そう言ってくれると、ウチとしても助かるわ。まあ、すでに功は立てとるし……恩賞については、しっかりと口利きさせてもらうで」
「それはありがたい。感謝する」
「ええて。信賞必罰はしっかり
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