黄巾の章
第13話 「今のお姉ちゃんは、桃園で誓ったお姉ちゃんじゃない気がするのだ」
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てるようやしな」
「……酷い話だ」
「まったくやな。黄巾だって漢の民にはかわらんのに……今は董卓様と賈駆っちが何とか説得しとる。最悪でも打ち首獄門にはならんやろ。まあ、棒打ちや強制労働あたりになるんやないやろか……」
「そうか……ならやはり、馬正のことは黙っていて正解だったろうな」
「まあ、情報提供者やし、うちの根回しした細作っちゅうんで話は通しとる。馬元義は死んだことになっとるから、だいじょうぶやろな」
「すまん。感謝するよ」
俺は頭を下げた。
「ええて、ええて。それより今後のことやけど、近々周辺の諸侯を集めて、張三姉妹がいるっちゅう拠点をしらみつぶしにするらしいんや」
「しらみつぶし? 確かに馬正の情報でおおよその場所は絞れたけど……どこに隠れているかはまだ定かではないぞ?」
「ああ。そんで手当たり次第、ちゅうことらしい」
「……なんて非効率的な。誰だ、そんなこと言い出したのは」
「宦官の張譲ってやつや」
張譲……確か、十常侍とかいう役職のトップだったか?
とかく悪いやつ、という印象しかないが……
「どうも、華雄と馬岱が戻った際に月のことを散々なぶったらしいんや。けど、そのすぐ後にこの戦果やろ? 霊帝は大喜びで月のことを褒めまくるから……あのアホ、立場がのうなったようや。それでうちらからの情報に、これ幸いと無理難題を言い出したらしいんや」
さっきから月、月と……真名連呼しているけど、ずいぶん気安いな?
まあ、霞の性格じゃだれでもそうなのかもしれないが……
しかし、董卓って暴政しいたやつだろ?
捕虜を助命しようとしているところを見ると、こっちの董卓はずいぶんと優しい性格をしているのだろうか?
それとも別の狙いがあるのか……?
「そんで賈駆っちの献策で、うちらだけじゃ手が回らないから、諸侯を集めて一大捜索網が敷かれるっちゅうことになったそうや」
「なんともはや……いつの世も馬鹿な上司のせいで現場が振り回されるのはかわらんな。いや、張譲のことだぜ?」
馬鹿な上司、で一瞬剣呑な眼になる霞。
ふむ……やはり董卓は、霞にとって良い主君らしい。
となると、歴史書の表記は後に作られた偽書ってことか。
まあ、負けた側だしな……勝てば官軍、負ければ賊軍。
いつの世もそんなものか。
「まあ、ええ。現状はそんなとこなんやけど……実はうちらにその張譲から命令がきとる」
「む? 張譲から? 董卓どのからでも帝の詔でもなく、か?」
「まあな。一応は帝からっちゅうことになるんやろうけど……実際は張譲のアホからや。諸侯が集まるまで、近隣の黄巾に対する討伐を代わりに行えとのことや」
「……っ」
俺は、思わず舌打ちをする。
なるほど、読めた……張譲というや
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