黄巾の章
第13話 「今のお姉ちゃんは、桃園で誓ったお姉ちゃんじゃない気がするのだ」
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―― 孔明 side 洛陽近郊 ――
「諸葛どの。次はなにをしたらよろしいか?」
はあ……
私は、思わずため息をついてしまいました。
私の目の前には、つい先日盾二様の臣となった馬正さんが、わくわくした顔で私の言葉を待っています。
「ええっと……で、ではすいませんが……糧食の確認と、輜重隊の様子を見てきていただけますか?」
「心得た!」
そう言って、天幕の外に駆け出していく馬正さん。
はあ……
「だめだよ、朱里ちゃん……馬正さんは悪気があるわけじゃないんだから」
「わ、わかってるよぅ……」
私の様子に、苦言を呈してくる雛里ちゃん。
でも、それなら雛里ちゃんが馬正さんの相手をしてくれてもいいんじゃないかな?
「わ、私が言おうとすると……声が小さくて、顔近づけてきて……」
「そうだね、もう泣いちゃったの何回目だっけ?」
「あうぅ……」
そう言って、帽子を目深に被って顔を隠す雛里ちゃん。
うん。別に怒っているわけじゃないよ?
ただ……私だけが相手するってのも……
「ご、ごめんね。朱里ちゃん……」
「はあ……ううん。雛里ちゃんが悪いわけじゃないもん……はあ」
悪い人じゃないんです。
仕事はきちっとこなすし、面倒見もいいし、元黄巾の人と義勇軍の人との間も取り持つように心を砕いています。
でも……こう……なんというか……
……うざ、いいえいえいえいえ!
……いい人、ですよ?
「はあ……」
「しゅ、朱里ちゃん……」
「え? あ、ああ……はあ」
ダメです。
ため息が止まりません。
どうしてこうなったんですか、盾二さまぁ……
―― 盾二 side ――
「へっくしゅっ!」
「大丈夫? ご主人様、風邪引いた?」
「いや……なんか誰かに呼ばれた気がしたような」
「や、やめろよ! 昼間っからお化けの話は!」
「……別にお化けの話やないやろ」
うー……?
俺はAMスーツに覆われた腕をさする。
別段、寒気がするわけでもないのにな……?
「それで? 捕虜はどうなるんだ?」
俺は天幕内にいる、霞、翠、桃香の三人を見回して言った。
俺たちは今、砦の陥落の報告と捕虜の移送のため、洛陽の外で陣を張っている。
なにしろ、ここは漢の首都。
無位無官で、しかも義勇軍の俺たちは中にすら入れてもらえないときた。
帝から勅命を受けた霞や翠がいなかったら、ここに留まることすら許されなかったかもしれない。
「1万弱の捕虜の受け取りが、一朝一夕でできるかいな。うちの上司である月……董卓様からの話じゃ、宦官どもは即刻斬首しろとゆう
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