第三十六話〜手紙〜
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は特にそんなことも関係なくライのその質問に対する回答を答える。
「これからもよろしく」
それはなのはがライと出会った時と同じ笑顔。しかしあの時とは意味の違う、ライという人間を立場や境遇とは関係なしに受け入れる笑顔。
「あの時、私がライに言った言葉は今も変わらないよ。だから素直に自分の気持ちを言ってもいいんだよ」
その言葉はライを支えようとするためのフェイトの言葉。ライの抱える重荷を軽くするためにフェイトが考えた精一杯の言葉。
「ライは自分を傷つけるやり方しか知らんのやったら、これからは私らが教えたるよ」
そう言ってはやてはライの手を握る。その握手はライを導こうとするもの。ライと同じように自分を犠牲にした家族がいたはやてにとっての誓いにもなる握手。
「でも僕にそんな資格は―――」
「マスター」
ライが言葉を遮るように発言したのは蒼月であった。
「差し出がましいのですが、マスターが持っている折り紙の中身を確認してください」
ライは最初なぜこのタイミングで蒼月がそんなことを言うのかわからなかったが、一旦はやての手を離し、言われた通りに桜の折り紙を分解する。その中を覗くと蒼月の伝えたいことの意味を瞬時に理解する。
桜の折り紙の中には拙い文字で短い文章が書かれていた。
『あなたが幸せになれることを祈ります。
あなたの優しい微笑みが失われない事を願っています。
N・R』
その文章を読み終える頃には、ライの瞳からは止めどない涙が溢れていた。ライはその手紙の送り主をすぐに理解していた。
その送り主である彼女はあえて、ライと出会った時のイニシャルを使っていた。
ポタリとライの涙が折り紙の上に落ち、そのすぐにでも破れてしまいそうな紙を濡らす。しかしライの涙は止まらない。それどころか涙の量は増えていき、とうとうライはその場に膝をつき必死に嗚咽を噛み殺し、涙を止めようとする。
そのライに3人は歩み寄り、優しくライを抱きしめた。3人から伝わってくる温もりを感じ、ライは泣き始める。そんなライを3人はライが泣き止むまで抱きしめていた。
なのはは思う。ライが自分と似ている、と。ライの前で泣く前、自分が泣かないようにしていた頃の自分とライが元の世界にいたときの彼。全てを抱え込み、他人のために自分が行動する。自惚れでもなく、ただ事実として彼女はそう考えた。
そしてそれが他人に対して不安を与えることなのだということも理解できた。何故なら今自分達の腕の中で泣いている、他人の前で泣くことができたライに安心することができたのだから。
(私もまだまだだな〜)
これまで教導官として色々な人間を見てきたと思い込んでいた自
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