第三十六話〜手紙〜
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しばらくは沈黙が続いたが部隊長であるはやてが代表するように言葉を発した。
「みんな、今のを見てライ君に思うところは色々あるかもしれん。せやけど彼の過去を知った上で聞くで?」
そこで一旦言葉を切り、はやてはその場にいる全員に視線を向ける。
「彼のことをこれからも、うちらの仲間として受け入れられる?」
その質問の答えはすぐに出ることとなった。
機動六課・隊舎屋上
ライは食堂を出るときに言った通り屋上に来ていた。
ライは屋上の手すりに手を置き、どこかに焦点を合わせることもなくボンヤリと風景に視線を向けていた。時折吹く風は夜ということもあり少し冷たく、緊張で上がっていた体温を冷ましていく。
海に面した場所にある機動六課の隊舎には、風に磯の香りが混じっている。その香りを感じたとき、ライはどうしても元の世界のダモクレスでの戦闘を思い出してしまう。
「………ダメだな」
自嘲気味にそう呟いた後、頭を振り過去の光景を振り払おうとする。
元の世界で自分たちが人の進む明日を求めておきながら、自分が過去にばかり目を向けていることに内心嫌悪感を覚える。しかしそれは人にとっては当たり前のことであるが今のライはそれに気付くことはできなかった。
何気なく視線を上げるとそこにはミットチルダの月が浮かんでいた。月は今も夜を照らしそして人にその美しさを示している。その存在するだけで夜という闇の中で人を導く光を生み出す存在にほんの少しだけライは羨望を抱いた。
ライはその月を眺めながら、ポケットに入れてある桜の折り紙に触れる。そしてそれと同時に屋上の出入り口が開く音が響く。
ライが振り向くとそこにいたのは、なのは、フェイト、はやての3人。そしてフェイトの手には蒼月とパラディンが乗っていた。
「決めた?」
ライは静かに、無感動にそう尋ねる。その声は感情を感じさせないものであったが、無表情であるはずのライの顔が彼女たち3人には泣くのを我慢している子供のように見えた。
ライの質問に返答を返すことをせずにフェイトがライに近づく。それを見てライは思う。
(……やはり受け入れられなかった、か)
フェイトが執務官であるからこそ、自分を重罪人として拘束するのだとライは予想する。
ライの目の前で立ち止まり、自分の手が掴まれた時点でライは自分の予想が当たっていたと確信する。だがその考えはすぐに否定される。
フェイトは握ったライの手の平に蒼月とパラディンの2機を置く。ライは何故自分にデバイスを渡すのか本当にわからなかった。呆然とした表情で目の前の3人の顔を見るとその表情は笑顔であった。
「………どう…して……」
何に対する質問なのか、それは言った本人にもわからない。だが、3人に
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