Episode 3 デリバリー始めました
屋敷妖精達とお座敷戦争
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えていた。
「正当な金額だと思いますよ? 材料費、特殊技術費、運送費、その他もろもろを合わせるとそのぐらいになるかと」
「せ、せめてこの1/3が限界だ! いやなんとか半分までは用意しよう……。 だが、いずれにせよこの金額を全額支払うなんて不可能だ!」
「隊員を元気付けるための料理が欲しい。 金に糸目はつけない。 そうおっしゃったのはそちらではありませんか?」
「いくらなんでも限度というものを考えてくれ!!」
「騎士たる者が言葉を違えるのですか? 嘆かわしい。 最低ですね」
姿無き少女の言葉が、ダークエルフの胸に容赦なく突き刺さる。
その言葉尻を捉え、ケットシー三匹が『さいてー さいてー』と何度もコーラスのように繰り返した。
……なんと言う抜群のコンビネーション。
周りの魔族達は係わり合いになるまいと、すでに全員この場から逃げ出している。
かくして、中隊長の孤独な戦いは圧倒的に不利な状態で開始された。
遠くから微かに聞こえる弔いの経文はいったい何の為ものだろうか?
「では、こうしましょう。 この砦に攻めてきた戦士と勇者を対価として差し出してくれるなら半額でいいですよ?」
「そ、そんな事が認められるわけないだろう!?」
「簡単なことじゃないですか。 ここにいる人たち全員が黙っていれば済む話です」
「き、君はビェンスノゥの民としての良心は無いのか!?」
「あいにく、魔王陛下と絶賛喧嘩中でして、街にも入れてもらえない身の上なんですよ。 まぁ、魔族としての良心がないわけではありませんが、自分のポリシーと比べると優先順位はかなり下ですね」
その後、少女とダークエルフの舌戦は1時間近く続いたが、結果は予想通りダークエルフが折れた。
「もぅ……好きにしてくれ」
魔神の眷属、そしいて冷徹非情で知られるダークエルフの目に涙が浮かぶ光景を見たのは、おそらくクリストハルトが人類初であろう。
すばらしい快挙なのであろうが、全く嬉しくないのは何故だろうか?
まぁ、そんな事はどうでもいい。
クリストハルトはこの姿無き少女に悪意が無いと確信し、一つの交渉を持ちかけた。
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