Episode 3 デリバリー始めました
屋敷妖精達とお座敷戦争
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さすがに次は耐えられないだろう。
――ここまでか。 戦場で散るのは覚悟の上だったが、このような終わり方はあまりにも無念だ。
「マル、ポメ、そこまででいい。 戻っておいで」
しかし、姿なき声は無感動な響きをそのままに、クリストハルトにトドメを刺そうとするケットシーたちに帰還命令を告げた。
「まぁ、とりあえず彼女の身柄は預かった。 彼女はお姫様じゃくなて勇者らしいけど、細かいところは置いておこう」
どうやらカリーナは生き埋めになって死んだわけではないらしい。
「……さて、交渉をしようか? そこの人間の戦士さん。 実のところを言うと、血なまぐさいことは嫌いだし、無駄な争いをするつもりは無い。 君が何もせずにここを去るなら、彼女の安全は保証しよう。 何だったら君が立ち去った後に人間界に返してあげてもかまわない。 けど、これ以上暴れるというなら……」
「わかった。 その条件を飲もう」
少女――キシリアの台詞が終わるより早く、クリストハルトは剣を腰に差しなおし、両手を上に上げて降参の意を示した。
いずれにせよカリーナを取り上げられ、さらに魔楽器とフォモールの神聖魔術の組み合わせを持ち出された段階でクリストハルトに勝算は無い。
ならば、向こうが譲歩している間に言質をとって無事に帰る方策を探るのが得策と言うものだ。
むろん交渉は信頼ありきであるし、魔族の言葉など信用などできるはずもない。
だが、足掻いたところで殺されるのは目に見えているし、そもそも罠を勘ぐったところで、向こうに罠を張るだけのメリットが存在していなかった。
「それは認められない、キシリア殿! 君も魔族の一員であるなら、かの戦士をここで葬るべきだ!」
エントランスの上では、この砦の責任者らしきダークエルフが少女に向かって気勢を吐いていた。
だが……おそらく無駄だろう。
この声の持ち主は、人間にも魔族にもおそらく興味が無い。
「言いませんでしたか? 血なまぐさいことは嫌いなんですよ。 それに自分の仕事は戦争では無くて料理を作ることですから、食べもしない生き物を殺すのは主義にあいません。 それに自分の敵を倒すのに部外者の手を借りるなんて、プロとして恥ずかしくないですか? 続きは自分の知らないところでご自由にどうぞ」
キシリアの冷たい声がそう告げると同時に、上から一枚の紙を持った灰色のケットシーが降りてきた。
「どうぞ。 今回の請求書ですニャ」
そう言って差し出された紙を見るなり、この砦の責任者であるダークエルフ――ボイツェフ中隊長は、端整な顔が破壊されるのではないかと思うほど大きく目を見開いた。
「こ、このこの金額は……」
よほどすさまじい金額が記されていたのだろう。
問いかける声は僅かに震
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