Episode 3 デリバリー始めました
屋敷妖精達とお座敷戦争
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すぎて試そうなどとは欠片も思わない。
――どうしたものか。
「いたぞ! 勇者と戦士だ!」
「ちっ……もう来やがったか!」
思案する暇も無く、クリストハルトの耳に、敵の訪れを告げる声が響く。
「第壱部隊の屋敷小人共、全員その理力を床や絨毯になじませろ! 勇者共に足場の自由を与えるな!! 第弐部隊の夜鳴き乙女共は一斉突撃! お前らのハタキで奴らの頭を叩き潰せ!!」
攻撃の指示が飛ぶなり、床板のフローリングは一瞬にして剣山となり、その上を覆っていた絨毯は蛇のようにうねりながら脚にまとわり付いてくる。
剣とも無く槍でもない、まさに性質の悪い物の怪のような攻撃だ。
しかもその合間を縫って、ハタキを構えた少女たちが天井や壁を走って襲い掛かってくる。
見た目も正体もまごうことなきハタキだが、理力のこめられたソレはオークの頭蓋をも豆腐のように砕く必殺の凶器だ。
それを剣をふるって追い払えば、敵は嘲り声を上げながら毒の煙玉を撒き散らしつつ、宙を蹴って蝙蝠のように体を翻して遠ざかり、その田遺恨具に合わせて別の固体が別の角度から襲い掛かるのだから始末が悪い。
「くそっ、なんて面倒な……」
直接刃を交える戦士としての戦いならば負ける気はしないが、屋敷の妖精達の暗殺者じみた型にとらわれにくい攻撃は、クリストハルトほどの腕をしてもやりにくくてしょうがない。
さらに妖精達の撒き散らす毒はが徐々に体の自由を奪って行くものの、それを中和する解毒の護符のエネルギー量には限りがあった。
……これは一度撤収したほうが良いか?
妖魄液は十分に確保している。
今戦っているのは、純粋に自分の意地だ。
こんなところで勇者であるカリーナを危険にさらすわけには行かない。
「キーキーうるせぇんだよ!!」
クリストハルトはカリーナの首につながっている鎖から不意に手を離すと、襲い掛かってきたメイド姿の夜鳴き乙女の脚を素早く掴み上げた。
今までずっと片手しか使っていなかったため、その急な行動の変化に、夜鳴き乙女たちが一瞬戸惑いを見せる。
「うぉら!」
「きゃあぁぁぁっ!」
気合と共に夜鳴き乙女を彼女の同僚達に投げつけると、不意をうたれた夜鳴き乙女達は攻撃を避けることもできず、そのまま弾き飛ばされて動かなくなった。
彼女たちのウリはその素早い動きと予測不能な行動パターンであり、肉体的な強度は外向きの兵士たちに比べると格段に低い。
「ふん……このまま暴れても何の得も無ぇ。 そろそろ帰るぞ」
普段の言動からは予想できないが、クリストハルトは勝利にこだわることはあっても執着することはし
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