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蒼き夢の果てに
第5章 契約
第63話 龍の巫女
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に稀な存在。これは、タバサは初めからかなりキツイ練習を繰り返していたと言う事ですか。
 但し、もし、そうだとすると……。

「つまり、タバサも俺の抱きつき癖は知って居ると言う事か」

 知らなかったのは俺だけで、他の人間は全員知って居た、と言う事ですか。
 いや、それドコロか、俺が知らないだけで、タバサも寝ている最中に、俺に抱き締められた事も有るかも知れないか。

 先ほどの、湖の乙女の語った内容が、タバサにも当て嵌まるのならば。

「それで、湖の乙女は、俺の霊気をタバサと同じように制御出来ると言う事なのか?」

 もう、彼女……。湖の乙女が臨時の俺の巫女役に成ったのなら、それは、それで構わないでしょう。更に、俺と彼女の間に、その修行……と言うか調整作業以外に何も無かったのなら、俺の隣で眠ろうが、腕の中で眠ろうが、問題はないと思いますから。
 但し、それは今晩だけ。明日の夜からは、少なくとも同じ布団の中で眠る事だけは勘弁して貰いますが。

 流石に、理性が保てる自信が有りませんから。

 そして、俺の問い掛けに対して、ダンダリオンが会話に乱入して来てから少し蚊帳の外に置かれていたように成っていた湖の乙女が、彼女にしては珍しくやや強い雰囲気で首肯いて答えてくれたのでした。


☆★☆★☆


 ゆっくりと、海から昇って来る乳白色の帳が、今宵も再び、この港街を覆い尽くそうとして居た。
 かなり濃い磯の香と、そして、冷たいと表現すべき白の世界。
 まるで、このブレストの街自体が海底と言うべき領域に取り込まれたかのようで、非常に不快。そして、微妙な陰鬱とした雰囲気に包まれているかのようで有った。

 現在、俺の時計が指し示す時間は午後の六時過ぎ。結局、ブレストの街で精霊力の濃い場所を調べ回ったのですが、簡単に盗み出した精霊石を一時的に保管している場所を発見出来る訳もなく……。
 明日からは、このまま、捜査範囲をブレスト周辺にまで広げて捜査を続けるか、それとも倉庫に残された物資と、兵站の部門に残されている文書とのつき合わしを行って不審な個所がないか、の確認を行うのか。

 それとも、このガリア両用艦隊所属で、ある程度の地位に有って、補給物資の管理を行う権限を持つ人間を調べ上げるか。
 もっとも、ここは魔法がリアルに存在するファンタジーな世界ですから、俺が捜査可能な方法での個人の裏を洗うような方法は、既に行われている可能性の方が高いと思うので、生半可な方法では難しいとは思いますが……。

 どれを選ぶにしても、時間の掛かる地道な捜査と成る事だけは確かだと思います。
 尚、当然のように、このブレストと言う街も城塞都市で有り、現代社会。それも、日本から召喚された俺から見ると、街の規模も小さく、更に、日が暮れ
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