第5章 契約
第63話 龍の巫女
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、この状況に至った経緯など、簡単に推測出来るのは確かなのですが。
何故ならば、確かに、眠っている俺と湖の乙女の護衛用に現界させたハルファスですから、俺の身に危険が迫らない限り、何の手出しも行わないのは当たり前です。更に、湖の乙女が俺に危害を加える事は有り得ない事ですから、彼女が俺の寝ている間に、俺の傍らに移動して来たとしても、その行為を邪魔する事は有り得ないとは思います。
但し。例えそうで有ったとしても、人間の世界には、人間の世界の倫理感やルールと言う物が有るのですが……。
「状況も何も、見たまま、感じたままだな、シノブくん」
涼しい顔でそう答えるハルファス。そして、この雰囲気だと、細かく説明する気はゼロ。まして、彼女もまた神霊ですから、人間界の倫理観に囚われて行動する必要は有りませんから……。
この対応は、別に不思議な事でも有りませんか。
【何を、朝から細かい事をごちゃごちゃと言って居るのですか、シノブは】
もう、俺と湖の乙女の間に何も無かった事は確かみたいですし、朝一番に彼女の幸福感に満たされた気に包まれたので、それだけで良としようとした俺に対して、黒の智慧の女神。ダンダリオンが【念話】を繋げて来る。
そして、更に続けて、
【そもそも、タバサが一時的に離れている以上、早急に次の巫女を用意しなければならないのですから、彼女にシノブの傍に居て貰うのは当たり前なのです】
彼女独特の特徴のある語調で、そう話し掛けて来た。
大人の女性騎士の雰囲気の有るハルファス。無機質不思議ちゃん系の湖の乙女に、生意気少女系のダンダリオン。どうも、扱い辛い連中ばかりがこの場を仕切っているようなのですが……。
しかし、
「ダンダリオン。その巫女と言うのは、一体、何の事なんや?」
しかし、現状を憂いて居るばかりでは始まりませんか。まして、タバサが離れていて、と言う部分に何か引っ掛かりが有りますし、更に、早急に用意すると言う事は……。
【シノブは自らの霊力を完全に制御出来ない能無しだから、タバサを巫女にしてシノブの霊力を制御して貰って居たのです】
確かに、俺自身の霊力の総量と、それを扱う才能の無さには少し問題が有るとは思っていましたが、能無しは流石に……。
【そもそも、シノブはタバサが自らの魔法の才能のみで、シノブの霊力を制御出来るように成って居ると思って居たのなら、それは大間違いなのです】
普段通りの毒舌で一言余分な言葉を口にした後、更に余計な部分を話し出すダンダリオン。
いや、厳密に言うと、完全に余計な部分と言う訳では有りません。ただ、今、その台詞に何の意味……。
いや、俺が眠っている間に、タバサも何か行っていたのか?
【肯定。本
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